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2023.03.04 08:45

高知市の地球33番地活動、33年目で幕 3づくしの地から環境保全、実行委「役目終えた」 

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地球33番地のイベントで環境保全への願いを込めて紙風船を飛ばす児童たち(1994年、高知市南金田)

地球33番地のイベントで環境保全への願いを込めて紙風船を飛ばす児童たち(1994年、高知市南金田)

 高知市の「地球33番地」で環境保全を発信するなどユニークな取り組みを続けてきた実行委員会(宮田速雄委員長)が、「一定の役目を終えた」として〝節目〟となる33年目の今年、活動に幕を閉じる。メンバーは「今後はそれぞれの立場で33番地の発信などに努めたい」としている。

 「33番地」は東経133度33分33秒、北緯33度33分33秒と「3づくし」の地点で、1962年に南金田と弥生町の境を流れる江ノ口川沿いに高知ロータリークラブがモニュメントを設置したのが始まり。

 この地点を県内外にPRしようと91年、地元企業や同クラブなどでつくる実行委が発足した。江ノ口川の水質が課題になっていたことから環境保全にも力を入れ、毎年3月3日の記念式典で33分間の清掃や植樹などを実施。地元小学校の環境教育の場として活用し、児童たちの絵画展も毎年開いてきた。

 「3が並んでいるというだけなのに、なぜか面白くて人が集まってきた」と振り返るのは、実行委の活動を33年間支えてきた川窪財(たから)事務局長(60)。

 「車のナンバーが3の人や通信簿がオール3の子、名前に3が入ってる人とかが全国から集まって、33羽のハトを飛ばしたり、33種具材が入った鍋を振る舞ったり。ばかげたことだけど面白かった」

 中でも、昭和小と江陽小で年1回行ってきた環境教育の出前授業が印象に残っているといい、「今の子どもたちは江ノ口川を『汚い』とは言わない。私たちの頃は汚かった川が、今はきれいになっているんだと実感してます」。

 モニュメントの向かいにある重度障害者の通所援護事業所「オープンハート」は、訪れた人に「地点到達証明書」を手渡してきた。宇賀恵子代表(62)は「証明書を求める人が来ると、利用者や職員みんなの胸が躍った。部屋に上がって絵を描いてくれた人や楽器を演奏してくれた人もいた」と33番地で生まれた出会いに感謝する。

地元児童による環境標語発表などが行われた記念式典(1999年、同市弥生町)

地元児童による環境標語発表などが行われた記念式典(1999年、同市弥生町)

 地元100店舗が加盟している「のれん33番地」は、子どもたちの見守り活動を兼ねて33番地の店舗を巡るスタンプラリーを開催してきた。国見俊介代表(61)は「実行委がなくなっても、地球33番地という場所は残る。ひとまず休憩して、地域の人とまた、マニアックな名所で面白いことをしたい」と意気込む。

 近くの「藁工(わらこう)ミュージアム」学芸スタッフの松本志帆子さん(44)も「今後は江ノ口川沿いにランタンを並べたり、川下りをしたりするイベントが実現できたら楽しそう」。33番地を生かした地域の盛り上がりに期待を込めた。

■   ■
 記念日の3日、実行委の宮田委員長が昭和小と江陽小を訪れ、プロジェクターや書画カメラを寄贈。今年で最後となった絵画展で入賞した児童各5人に賞状を手渡した。江陽小の今西和子校長は「校区にある江ノ口川、33番地をきれいに守りたいという気持ちが子どもたちに育まれてきた」と謝辞を述べ、宮田委員長は「自分たちができることは何か、これからも身近なことから考えてもらいたい」と呼び掛けた。(玉置萌恵)

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