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2023.02.02 08:45

吉野川でサーモン養殖、プリッともちもち!脂も乗っちゅう 高知県いの町本川地域の源流域

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吉野川源流域の水で育ったサーモンを手にする土本隆司さん(いの町寺川)

吉野川源流域の水で育ったサーモンを手にする土本隆司さん(いの町寺川)

 いの町本川地域の人里離れた山奥で、数百匹のサーモンが泳いでいる。吉野川源流域の清らかな水を生かして、養殖に乗り出したのは「森の中の魚屋さん」。近くブランド化して販路拡大を進める計画で、代表の土本隆司さん(62)は「まずは知名度を上げたい。ぷりっともちもちの食感で脂も乗っちゅう」とアピールしている。

深い森の中。アメゴとともに育てている

深い森の中。アメゴとともに育てている

 養殖場は、同町寺川の標高約850メートルの山あいにある。約50平方メートルのいけす六つは、50年以上前に地元住民がアメゴ養殖用に整備したもの。魚は本川漁協が買い取っていたが、10年ほど前から使用されなくなっていた。

 若い頃に同漁協に勤めたことのある土本さんは、当時食べた同養殖場のアメゴの味が忘れられなかった。後に県職員に転身してからも、「いつか自分で育てて売り出したい」と思っていた。55歳で退職し、2017年に長年の思いを実現。炭火の塩焼き、一夜干しなどの販売を始めた。

 サーモンとの出合いは19年春。アメゴの養殖技術を学ぶために訪れた岐阜県で同業者から誘われた。「最初はあまり乗り気やなかった」(土本さん)が、取りあえず稚魚500匹を買い、育ててみることにした。

 石鎚山系の瓶ケ森から流れ出る水は、冬は0度近く、夏でも18度ほどにしか上がらず、魚が病気にかかりにくいという。初めてのサーモン養殖だったものの、半年で体長10~15センチになり、中には30センチまで成長した個体もいた。20年からは岐阜県水産研究所から卵を仕入れ、ふ化もさせている。

 19年秋、量は少ないながらサーモンを洋風料理店「木の根に萌(きざ)す。」(いの町戸中)に初出荷した。カルパッチョ、ムニエル、パスタなど大好評で、唐木田雄太店長(37)は「毎回注文してくれるリピーターさんがいます」。その後、さめうら荘(土佐町田井)でも刺し身、天ぷら、ソテーなどが夕食に並ぶようになり、溝渕龍也料理長(46)は「うちの主力メニュー」と太鼓判を押す。

カルパッチョと刺し身。ぷりっともちもちした食感で脂も乗っている

カルパッチョと刺し身。ぷりっともちもちした食感で脂も乗っている 

 土本さんによると、ふ化から出荷基準の70センチ程度に成長するまで3年ほどかかる。養殖数は年々増え現在250~300匹。今年も卵を1万個ほど購入予定といい、年間500~700匹の出荷を目指す。引き続き、アメゴの養殖も手がける。

 「餌代が養殖を始めた頃に比べて2倍以上。正直苦しい」と土本さん。それでも「吉野川源流域のきれいな水で育った自慢のサーモン。一度食べてみてほしい」と話している。(谷川剛章)

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