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2023.01.30 08:45

スウェーデンでかなえたプロの夢、サッカー女子・大井美波さん(高知市出身)「もっと上の世界でプレーを」

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「サッカーの魅力は喜びも悔しさも、その瞬間瞬間を仲間みんなで共有できること」と語る大井美波さん(高知市の春野総合運動公園)

「サッカーの魅力は喜びも悔しさも、その瞬間瞬間を仲間みんなで共有できること」と語る大井美波さん(高知市の春野総合運動公園)

 北欧スウェーデンで、女子サッカーのプロとして活動する高知の選手がいる。高知市出身のミッドフィルダー、大井美波さん(26)。幼稚園の頃から男子に交じってボールを蹴り、夢を追って海外に出た。もっと上の世界でプレーしたい―。

 土佐塾中から県外の高校、大学、なでしこリーグで活躍。海外でのプレーを模索していた2021年、スウェーデンのアマチュア2部「P18(ピーオートン)」に加入した。

 日本で鍛えたキックの精度を武器に、仲間を生かすプレーが評価され、昨年にプロ契約。慣れない海外生活は苦労も多いが、サッカーへの情熱と向上心は尽きない。「世界のレベルを知ったことで、もっと頑張りたいという力が湧いた」と朗らかに話す。

  ◇

 北欧スウェーデンで、昨年から女子サッカーのプロとして奮闘している大井美波さん。持ち前のガッツで小さいころからの夢をかなえ、「自分は足が遅いし、体格も小さい。でも目標を持ち続けれていれば、選択肢は広がる」と力を込める。

スウェーデンでプレーする大井美波さん=左から2人目(提供写真)

スウェーデンでプレーする大井美波さん=左から2人目(提供写真)


 物心がついたころには、幼稚園でボールを蹴っていたという大井さん。土佐塾中時代は「高知JFC ROSA」で「仲間と切磋琢磨(せっさたくま)して」基礎を磨き、大阪の強豪高校に進むと「プレーの原動力が楽しさから向上心に変わった」。全国高校総体では3位の結果を残した。

 早稲田大学では学生日本一を何度も経験。しかし、世界の舞台で戦う夢を描き始めた3年の夏、強烈な悔しさを味わう。

 チームメートが続々と大学世代の日本代表に選ばれる中、自身に声がかかることはなかった。「もっと上に行きたい」思いが募り、決意した。「別の国に行って、世界を知ろう」

 大学卒業後、なでしこリーグの名古屋のチームなどでプレーを続けながら、海外チームの情報収集や渡航準備を少しずつ進めた。

 中国でプレーする話も出たが、新型コロナ禍で渡航がかなわず。その後、「サッカー熱がものすごく高い」スウェーデンのチームから誘いがかかった。

スウェーデンのチームメートと。前列左端が大井さん(提供写真)

スウェーデンのチームメートと。前列左端が大井さん(提供写真)


 監督の「一緒に昇格をしよう」という熱烈な誘いに引かれ、2021年夏、同国ゴットランド島のアマチュア2部「P18(ピーオートン)」に加入。貯金を切り崩しながら、プレーに打ち込む日々が始まった。

 ただ、世界の壁は高かった。大井さんは身長156センチ。相手チームには、背が20センチ以上高い選手がざらにいる。「よーいどんの勝負は無理」。体格や身体能力の差をどう埋め、渡り合うか。答えは「ボールを止める、蹴るの基礎は負けない。相手を分析して仲間の特長を生かす」。日本で磨いた精度を武器に、チームプレーに徹した。

 言葉の違うチームメートとの意思疎通に苦労し、孤独にさいなまれたこともあったが、その年にチームは見事、1部昇格を果たす。貢献大と認められた大井さんはプロ契約を結び、サッカー一本で身を立てる夢をかなえた。

 「自分も頑固だったけど、親も周囲の人も夢を否定しないでくれた。自分の気持ちに素直に従ったら今につながった」

 2年目の昨シーズンはリーグ戦18試合に出場。9ゴール8アシストを記録し、「来季はプロリーグ昇格を」と意気込む。

 今は、シーズンオフに合わせて帰省中。古里の女子チームが増えたことを喜び、複数チームの練習に参加しては交流している。香南市を中心に活動する「アランチャ・ジョカーレ・フィオーレ」の島田佐代監督(41)は「中高生の憧れ。生き方も含めて、いろんな意味でお手本になる」と賛辞を贈る。

 大井さんは、競技や海外生活の様子を交流サイト(SNS)で発信することにも力を入れる。「海外に挑戦したいけど不安だという選手は多い。自分の体験を伝えることで後押しできたら」。挑戦する後輩たちの励みになるようにと、さらなる飛躍を誓っている。(森田千尋)

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