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2022.12.28 08:00

【秋葉復興相更迭】政権の求心力が弱まる

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 2カ月で4人目の閣僚交代だ。岸田政権の足元は不祥事で大きく揺らぐ。問われているのは政権への信頼だ。党内基盤の弱さから大派閥や保守派への配慮を先行させていては支持は高まらない。
 岸田文雄首相は、秋葉賢也復興相を事実上更迭した。杉田水脈(みお)総務政務官も交代させた。
 秋葉氏は、自身の政治団体が事務所賃料を親族に支払っていたことが10月に発覚した。また、昨年の衆院選で秘書に報酬を支払った公選法違反疑惑が報じられ、次男が秋葉氏の名前入りたすきを着けて街頭に立った問題も指摘された。
 8月の内閣改造で秋葉氏は入閣した。改造は実施想定より1カ月ほど前倒しされた。臨時国会へ向けた態勢強化より、逆風をかわす狙いとみられた。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党議員との関係が次々と発覚し、安倍晋三元首相の国葬への反発も強かったためだ。
 しかし、その後も閣僚らに教団との接点が相次いで発覚し、刷新の思惑は空回りした。秋葉氏も教団の関連団体と接点があった。
 10月以降、山際大志郎前経済再生担当相、葉梨康弘前法相、寺田稔前総務相が事実上更迭された。寺田氏は、地元後援会が故人を会計責任者として政治資金収支報告書を提出するなど、政治資金問題の発覚が相次いだ。「政治とカネ」問題の根深さを見せつけられる思いだ。
 岸田内閣の支持率は低迷する。さらなる閣僚辞任は避けたかっただろう。しかし年明けの通常国会で野党の追及は必至だ。春の統一地方選にも影響が懸念される。更迭には不安定要素を排除したい思惑がにじむ。
 ただ、首相の決断はまた遅れたように映る。いったんは更迭を否定しながら追い込まれて対応するようでは求心力も弱まる。
 首相は、「国民の信頼が何よりの基本」と述べている。その通りだ。ならば、秋葉氏の問題発覚後の対応や、杉田氏の登用は信頼につながるものだったのだろうか。
 杉田氏は、性的少数者を「生産性がない」と表現したほか、会議の参加者をやゆする投稿をブログにし、謝罪、撤回に追い込まれた。性暴力被害への発言なども問題視されてきた。政務官としての適格性は当初から指摘されてきた。
 秋葉氏、杉田氏とも首相の任命責任が問われるのは当然だ。言うまでもなく、両氏は十分な説明が求められ、辞任したら終わりではない。説明責任が果たされるよう、首相の指導力が試される。
 岸田政権は一方で強引、拙速な政権運営も目立つ。防衛費は今後5年で現行の1・5倍とし、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を打ち出した。だが、防衛力強化への唐突な増税方針は世論の6割強が支持せず、9割近くが説明不足と受け止めている。増税には党内からの反発が上がり、閣内不一致もみられた。
 合意形成が軽視されている。手続きを怠っていては、政治の信頼は高まらない。

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