2022.12.23 08:00
【薗浦議員辞職】襟を正す姿勢が見えない
薗浦氏側は、関連の二つの政治団体が2017~20年に開いたパーティー収入を報告書に計4千万円少なく記載した疑いが持たれている。
収支報告書を通じて資金の流れを透明化するのは、政治活動の公平さを確保するためだ。その前提をないがしろにした。額も大きく悪質さがうかがえる。辞職は当然だろう。
過少記載の違法性もさることながら、国会議員にあるまじき不誠実な態度も目立つ。
薗浦氏は検察の事情聴取に対し、秘書との共謀を認めているとされ、辞職に当たり「心より反省している」とのコメントを出した。だが当初は、過少申告の認識や関与を否定していた。うそをついて言い逃れしようとしていたということだ。
検察は政治資金規正法違反の罪で略式起訴した。薗浦氏は刑が確定して失職する前に辞職した。
背景には、検察の判断を受け入れる姿勢を示し、情状酌量によって公民権停止の期間を短縮し、早期の政界復帰を目指すとの思惑も指摘される。そのような都合の良い話が、有権者に通じるだろうか。
辞職に当たっては記者会見も開かず、コメントを発表したのみだった。説明責任も全く果たしていない。4千万円はどこに消えたのか。なぜ記載額を偽ったのか。事務所の裏金として飲食費に使われたなどの報道があるが、定かではない。辞めて責任を果たせるわけではない。
それにしても、自民国会議員による「政治とカネ」問題の続発ぶりは目に余る。参院選広島選挙区での買収事件や鶏卵汚職など、19年末から逮捕、起訴され、離党・辞職したケースは5人に上る。
甘利明前幹事長の金銭授受問題も記憶に新しい。11月には寺田稔前総務相が閣僚を辞任したばかりだ。秋葉賢也復興相にも疑惑がくすぶる。
問題が後を絶たないのは、「政治とカネ」に厳しい有権者の目に依然として疎く、ガバナンス(統治)も機能していない党の組織的な問題があるからではないか。
今回の件を受けて党幹部から、政権への打撃や統一地方選への影響を懸念する声が出るが、個人の問題で済ませるようなら、不祥事は繰り返されよう。
「政治とカネ」に対する意識の低さは、国会議員に月額100万円が支給されている調査研究広報滞在費(旧・文書通信交通滞在費)の改革論議の停滞も物語る。
政治課題になって1年以上たつ。使途の公開や、未使用分の国庫返納といった改革は、先の臨時国会でも先送りされ、「議員特権」を囲い込んだままでいる。
岸田政権は防衛増税を決めた。国民に負担を求める一方で、自分たちの襟は正さないようでは、政治の求心力は下がる一方だ。