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2022.12.11 08:00

【臨時国会閉幕】重要政策は議論されたか

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 臨時国会がきのう閉幕した。
 国会終盤の焦点となった世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を巡る被害者救済法は、与野党が法案修正協議を重ねた末に会期末に成立した。法の成立を優先し、実効性の面で課題を残したが、国民が注目する懸案に道筋を付けた格好ではある。与野党が合意点を探ったプロセスも含めて評価できよう。
 ただ、直近の救済新法の扱いのみに目を奪われていては大局を見間違う。全体を見通せば、岸田政権の推進力に懐疑的にならざるを得ない場面が続いた。
 今国会最大のテーマとされた一つは、旧統一教会と自民党のつながりの解明だった。岸田文雄首相は所信表明で信頼回復に取り組む意欲を強調。その姿勢が、宗教法人法に基づく教団への質問権行使や、救済法につながったのは確かだろう。
 だが、教団票を差配した疑いが持たれている安倍晋三元首相や細田博之衆院議長の調査など、疑惑の核心部分は手つかずだ。教団名が変更された経緯もなおはっきりしない。実態が解明されないままでは、いくら「今後関係を断つ」と言ったところで信頼回復には至るまい。
 物価高対応では、国費の一般会計歳出が約29兆円と、異例の規模の補正予算を成立させた。
 電気代やガソリン代の負担軽減などに投じられるが、自民党の増額要求により短期間で4兆円も膨らんだ過程や、使途が決まっていない予備費を4兆7千億円積み増した内容からは、政権アピールのための額ありきだったとの印象を免れない。
 財源の8割は借金で、中長期の経済成長につながる要素も見えにくい。共同通信の世論調査では「期待できない」が7割超を占めたことを謙虚に受け止める必要がある。
 3人の閣僚が辞任に追い込まれる「辞任ドミノ」もあった。いずれも資質や品格が疑われ、自民のおごり、国会議員の劣化をさらした。岸田首相による更迭の判断も後手に回り、決断力に疑問符が付いた。
 不満を覚えるのは、重要な政策転換が、国会でなかなか正面から取り上げられなかったことだ。
 首相は、「依存度を可能な限り低減する」としてきた原発について今夏、推進にかじを切った。以降、60年を超える運転延長や建て替えに向けた環境整備が着実に進む。また安全保障政策では、防衛関連の3文書の改定に合わせる形で軍備増強方針、敵基地攻撃能力の保有方針が次々と固まっている。
 まず国会で、国民の目に広く触れる形で熟議するのが筋ではないか。「聞く力」と「丁寧な説明」は、方針を決める前にあるべきだ。
 独断で決めて世論を二分した国葬の教訓が生かされているとは思えない。内閣支持率下落に歯止めがかからない要因の一つでもあろう。
 野党では、立民と維新が共闘を始め、法案の共同提出などで影響力を強めた側面はあっただろう。政治に緊張感が求められている。共闘の熟度を高めていってもらいたい。

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