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2022.11.27 08:00

【コロナ第8波】年末に向け油断できない

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 新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者数が今月中旬以降、全国で計10万人を超える日が相次いでいる。流行の「第8波」に入った可能性が高い。
 日本医師会の幹部は既に今月16日の段階で、第8波に入ったとの認識を示していた。重症者数も増えており、予断を許さない状況だ。
 厚生労働省に助言する専門家組織は、高齢者の感染は緩やかな増加が続いているが、流行の中心だった10代の感染者数が頭打ちになっていると分析。今回の流行は近くピークを迎えるとの見方も示している。
 とはいえ、気温が下がり、換気を怠りがちになる季節である。クリスマスや年末年始に向け、人の動きも盛んになる。油断せずに感染防止の取り組みを続けたい。
 国内では全国旅行支援による観光客や入国規制の緩和による訪日客が増えている。景気への効果が期待されるが、感染拡大はそうした動きと無関係ではないだろう。
 ウイルスの変化にも表れている。現在、国内の新型コロナウイルスの主流はオミクロン株の一種「BA・5」だが、海外で見つかってきたオミクロン株の新たな派生型が国内でも広がりつつある。
 国立感染症研究所の推計では、国内のウイルスタイプは今月中旬時点で、二つの派生型の遺伝情報が合体した新型「XBB」が30%、BA・5から枝分かれした「BQ・1」も16%を占めている。主流の株が入れ替わる恐れもある。
 コロナの流行下、私たちはワクチン接種や感染によって一定の免疫を獲得してきた。ところがウイルスも進化し、専門家は「免疫から逃れる性質を強める方向に変化する兆候が出てきている」と指摘する。
 そうなると感染者が減らず、高止まりや増加が続く恐れがある。冬場はインフルエンザとの同時流行も警戒しなければならない。しっかりとした監視や分析が必要だ。
 コロナ対応は世界的に、いかに社会経済活動を維持しながら感染拡大を抑えるかに移っている。日本政府も既にコロナと共存する「ウィズコロナ」にかじを切っている。
 今月、都道府県が外出自粛などを住民に要請する「対策強化宣言」を新設。それでも医療が逼迫(ひっぱく)しそうな場合は「医療非常事態宣言」も発令し、出勤の抑制や旅行の自粛などを求める制度をスタートさせた。
 ただ、従来の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置とは違い、法的拘束力はない。政府は第8波も社会経済活動への影響を極力回避して乗り切る構えだ。
 感染や重症化を心配する人は依然多い。ワクチン接種後の感染や複数回感染する例も少なくない。政府には国民の不安や疑問にしっかり向き合い続ける責任がある。
 政府のコロナ対応では、軽症者向けに初の国産飲み薬が緊急承認された。治療の選択肢が増える一方で、劇的な改善効果は期待できないとされる。医療現場や患者が混乱しないように求める。

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