2022.10.22 05:00
「池野成一郎との深い友情」 シン・マキノ伝【19】=第2部= 田中純子(牧野記念庭園学芸員)
池野成一郎と牧野富太郎(大正12年、個人蔵)
自叙伝において「池野成一郎との親交」や「青山練兵場の『なんじゃもんじゃ』」などに池野は登場するが、おそらくこれらの基になったと思われる新聞記事がある。それは、「東京日日新聞」の昭和13年4月23日に掲載された「友を語る」のコーナーにおける「ドウランの追憶 共にボタニジングした池野君」という見出しで書かれた記事である。それによれば、池野と牧野はお互い隔てなく親しく交際し自然に気が合っていた。明治21(1888)年大箕谷八幡下の田圃でアズマツメクサを一緒に発見し、池野が帝国大学を卒業した明治23年には東北地方に行き採集した。池野は初めから牧野に人一倍親切で、…