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2022.09.18 08:00

【待機児童減少】次は保育の「質」だ

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 「保育園落ちた日本死ね」―。2016年、ある母親がブログにこう書き込んで社会問題化した保育所の待機児童問題が、改善している。ただ、保育の質の面や地域差など、課題はまだある。子育て環境の拡充に引き続き努めていきたい。
 認可保育施設の入所を希望しても入れない児童は、今年4月時点で2944人だったことが厚生労働省の集計で分かった。
 1994年の調査以来、最少で、ピークだった2017年の約2万6千人から9割近く減ったことになる。保護者の負担やストレスは一定、軽減されたのではないか。
 保育所の整備が進んだことが奏功した。政府は13年度以降、少子化対策の柱とし、「待機ゼロ」の目標達成を先送りしつつも、受け皿の拡大を図ってきた。定員は13年度の228万人が22年度は304万人となった。
 一方、保育所の利用児童が初めて減少に転じたことも、待機数の減少につながった。出生数の減少は政府推計より速いペースで進んでいる。想定外の少子化のおかげで「待機ゼロ」に近づいたとすれば、手放しで評価できない面はある。
 待機児童は減っているが、なお楽観はできない。減少の一因には、新型コロナウイルス禍による利用控えも指摘される。感染が収まれば保育需要が増える可能性がある。
 フルタイムの共働き世帯が増え、女性就業率も高まる傾向も依然、続いている。また、特定の園を希望し、断られて入園できない「隠れ待機児童」も約6万人いるとされる。受け皿が十分かどうか、常に留意していく必要があろう。
 待機児童は都市部で多く、郊外は保育所の空きが目立ち、地域差も顕著になってきた。統廃合の議論が浮上する過疎地もある。
 だが、子どもが減ったから子育てサービスを縮小するのではなく、サービスを維持して出生数につなげるやり方が基本だ。待機児童と欠員両方の課題があれば、ミスマッチの解消に取り組むことも重要だ。
 待機児童問題が完全に解消されたわけではないが、保育の「量」の面で環境が整ってきたのは事実だ。地域には多様な子育てニーズがある。次は、希望する人に必要なサービスが行き渡るよう「質」の面に目を向けていきたい。
 新設されるこども家庭庁は来年度、保育所の空きを活用し、保育所や幼稚園に通っておらず、孤立の恐れがある「無園児」を預かる取り組みを始めるという。それも多様なニーズに応える一つになろう。柔軟な制度を模索してもらいたい。
 質の充実には、保育士ら担い手の確保も欠かせない。
 厚労省の調査では、保育士の平均月給は全職種平均より5万円ほど低く、仕事の大変さから離職率も高いとされる。慢性的な人手不足は、事故やトラブルを招く。
 政府は賃上げを進めているが、引き続き処遇改善に取り組むべきだ。保育士の負担軽減へ、配置基準の見直しも検討する必要がある。

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