2022.08.31 08:39
高知はローカルアイスの宝庫 香南市の〝活動家〟400種調査 人や文化の交流ツールに
コレクションのパッケージとともに県産アイスを紹介する横田佳歩さん(香南市香我美町上分)
県外の大学を卒業後、和菓子メーカーに就職。東京を拠点に営業などで全国の百貨店やスーパーを巡り、気付いた。高知ってアイスの種類多くない?
2019年にUターン。ウェブやチラシのデザイン、地域活性化に向けたコンサル業などの傍ら、津々浦々の店で冷凍庫をのぞいた。すると、あるわあるわ。3年間で確認した400種超は包装、小売りされている県内製造の品だけで、メーカーは10社以上という。
ちなみに総務省の家計調査によると、アイス・シャーベットの年間支出金額(19~21年平均)で高知市は全国6位。1位は金沢市だが、横田さんによると商品は大手企業のものが多く、ローカル色の濃さでは高知に軍配が上がるそう。
横田さんは「こんなにアイスが充実した地域はめったにない」と強調。「県内でもなじみの商品やメーカーには地域差がある」とも話し、多彩なアイスを高知の文化と捉える。
その魅力を広めようとこれまで、高知市などでアイスを模した粘土作品づくりや、農家と一緒に野菜アイスを作るイベントなどを10回余り開いてきた。新型コロナウイルス下では、オンラインでの食べ合わせ研究も。アイス好きの老若男女が酒に合うアイスなどを探ったという。
Uターン前から東京の美大に通い、高知とは2拠点生活の横田さん。忙しい日々でもアイスへの情熱は衰えず、秋には地元香南市でものづくりやアートとアイスを組み合わせたイベントを計画している。
目標はアイス文化の発信だけではなく、人々の目を足元にある他の文化にも向けること。横田さんは「人や食文化、昔からの知恵や技術…。アイスを媒介にいろんなものを〝溶かしたい〟」。集めたアイスのパッケージを前に笑った。(深田恵衣)