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2022.08.18 08:00

【コロナ強化宣言】気を引き締める機会だ

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 新型コロナウイルス感染「第7波」の猛威が続いている。
 高知県も例に漏れず、県は、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)しているとして、政府が新設した「BA・5対策強化宣言」を発令した。県の対応ステージも、5段階で最も上の「特別対策」に引き上げた。
 強化宣言は、基本的な感染対策の要請や呼び掛けが中心で、目新しさがあるわけではない。国の財政支援などもない。主眼は、県民に警戒を促すアナウンス効果だ。
 このため、感染拡大の防止効果は限定的かもしれない。だが、弱いカードでも、すがらざるを得ない現状だということだろう。
 県内の医療機関からは実際に「限界」「崩壊」の声が上がる。高知市では救急搬送困難事例も急増している。一方で感染拡大の局面ながら、よさこい特別演舞の人出やお盆の街の混雑が示すように、私たちに慣れや緩みが生じているのは事実だ。
 17日の新規感染者は過去最多を大きく更新する1875人だった。強化宣言の重みは、率直に受け止めたい。効果は限られるかもしれないが、私たちの意識次第で大きくなる余地もあるだろう。
 もっとも、今の県内の流行には驚かない。新規感染者が増加基調の中、よさこい特別演舞とお盆を迎えることを考えれば十分予想できた。よさこいクラスター(感染者集団)も報告された。
 強化宣言を出すのは、病床使用率50%超えが一つの目安とされる。16日時点は42・8%だったが、浜田省司知事は、感染拡大による医療従事者の人員不足、重症者の増加、一般診療に影響が及んでいることなどを理由に宣言したと説明した。
 よさこい特別演舞の後になったことは「あくまで結果だ」としたが、判断材料には感覚的な要素も含まれている。タイミングとして適切だったのか、また、結果的に特別演舞が感染状況にどう影響したのか、事後検証の必要はあろう。
 当面は、宣言の浸透とともに、医療負担を減らす実務的な対策を急ぎたい。検査キットが手軽に入手できる環境づくり、オンライン診断の円滑なスタートなどが求められる。
 それにしても、この流行下、政府の動きの鈍さはどうしたものか。
 岸田政権は社会経済活動の回復に軸足を置き、行動制限をせずに第7波を乗り切ろうとしている。確かに、変異株のオミクロン株は重症化率は低いが、これほど流行すれば再考が必要ではないか。
 「強化宣言」も、感染防止策が手詰まりの中でひねり出した、効果があやふやな苦肉の策というのが実情だ。都道府県任せでもある。
 自治体や医療関係者からは、感染者全数把握の見直しなどを求める声が出ている。政府はようやく月内に具体案を固める方針を示したが、スピード感には乏しい。
 総じて、厳しくなる医療現場に対し、手を尽くそうとする姿勢が見えない。岸田文雄首相がしっかりしたメッセージを発信する必要がある。

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