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2022.07.14 08:39

漂着クジラ「貴重な資料」 高知県四万十町民「イルカかと…」

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浜に打ち上がったタイヘイヨウアカボウモドキ(四万十町興津=6月23日夕、六川寛隆さんの次男、浬璃さん撮影)

浜に打ち上がったタイヘイヨウアカボウモドキ(四万十町興津=6月23日夕、六川寛隆さんの次男、浬璃さん撮影)

 高岡郡四万十町興津に漂着したクジラ「タイヘイヨウアカボウモドキ」は、昨夏までに世界で17例24個体しか確認されておらず生態は謎に包まれている。専門家は「貴重な資料」と強調し、イルカと思っていた住民はびっくり。国立科学博物館(東京)などは今後、胃の内容物などから食性を調べ、骨格標本も作製するという。

 同館や沖縄美(ちゅ)ら海水族館(沖縄)によると、「―アカボウモドキ」はインド洋や太平洋などに生息するアカボウクジラ科に属し、日本沿岸で捕獲されるツチクジラの仲間。国内では2002年から21年までに鹿児島県と北海道、沖縄県で計5例確認されている。

 海外の確認例を含めた最大の個体は全長6メートル台。水深0~千メートルに生息するとみられているが、生きている姿はほとんど見られておらず、詳しい生態は分かっていない。

 興津の小室の浜では6月23日早朝に住民らが発見。そのうちの一人、甫喜本正昭さん(72)によると、当初は尾ひれなどが動いていたため4人がかりで海に戻そうと押したが、間もなく死んだ。知らせを受けた県須崎土木事務所四万十町事務所が業者に依頼し翌24日に埋設。住民はイルカと認識していたという。

タイヘイヨウアカボウモドキの死骸を掘り起こして調査する研究員ら(四万十町興津の小室の浜)

タイヘイヨウアカボウモドキの死骸を掘り起こして調査する研究員ら(四万十町興津の小室の浜)

 ただその後、県内の博物館などを通じて国立科学博物館の研究員が写真を確認。7月13日は同館などの約20人が調査に訪れ、ショベルカーで死骸を掘り返し解剖した。一定腐敗していたが、頭の骨の形状などから種を特定し、卵巣から雌と分かった。体長(4・43メートル)から「比較的若い大人」と考察された。

 同博物館動物研究部脊椎動物研究グループの元グループ長で、長年「―アカボウモドキ」を研究してきた山田格(ただす)さん(72)は「もう少し早く来られれば良かった」としつつ、「貴重な資料になる。死んだ原因なども含め、可能な限り詳しく調べたい」と話した。

 甫喜本さんは浜で見つける1カ月ほど前にも「浅瀬に背びれが見えていた」と証言。“救出”に参加した六川寛隆さん(40)らとともに「イルカにしては尾ひれが大きく感じたが、それほど珍しいクジラだったとは」と驚いていた。(小林司)

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