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高知新聞PLUSの活用法

2022.05.26 00:04

【K+】vol.185(2022年5月26日発行)

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K+ vol.185 
2022年5月26日(木) 発行

CONTENTS
・はじまりエッセイ letter187 中西なちお
・特集 日々、養生|金子漢方薬局
・高知を元気に! うまいもの熱伝 volume.59|小松菜@香南市
・K+インタビュー 話をしてもいいですか vol.187 嶋崎絵里
・+BOOK REVIEW
・小島喜和 心ふるえる土佐の日々 第三十二回
・シンディー・ポーの迷宮星占術
・今月のプレゼント
・Information

河上展儀=表紙写真


特集
日々、養生
金子漢方薬局

仙頭杏美=取材 河上展儀=写真

自ら心と体に向き合えるよう、
寄り添い、支える、街の漢方薬局。



病気になる前に整える力を

 受け身ではなく、主体的に生きること。大切なことを、金子漢方薬局の2人が思い出させてくれました。
 2021(令和3)年、高知市桜井町にオープンした同薬局。店内に入ると、色とりどりの生薬や、健康茶、お香などが目に入り、まるで雑貨店のよう。出迎えてくれるのは、薬剤師の金子彰さんと、国際中医専門員の妻・絵里子さんです。漢方の力で、多くの人の健康を支えたいと店に立ちます。
 「漢方は、漢方薬だと思われがちですがそうではなく、古代中国医学を基本に日本で発展してきた医学を指します。漢方の考え方の基本は、『養生』です。養生とは、自分の体質を知り、体と主体的に向き合って自らを整えること。本来、人には自然治癒力が備わっているのですが、その力が低下すると病気になりやすくなります。病気の原因の大半は、生活習慣やメンタルが問題。体が不調な時は、漢方薬や薬膳料理、鍼灸(しんきゅう)などで体を治していくのが漢方ですが、一番大事なのは、病気になる前に自ら気付いて調整し、病院や薬に頼らなくてよい体でいることです」
 そんな状態へと自分で整えられるよう、夫婦は伴走者としてお客さんに寄り添います。


煮出して飲む煎じ薬は、生薬の成分をそのまま取り入れられるため効果が高いという

煮出して飲む煎じ薬は、生薬の成分をそのまま取り入れられるため効果が高いという



心身を癒やせる場を高知に

 神奈川県出身の彰さんは、薬局の薬剤師だった祖父の影響で、大学は薬学部へ。学ぶうちに、生活習慣を見直すことが、薬を飲むよりも大切だと考えるようになり、その考えに合った漢方を仕事にと、漢方専門店の薬日本堂に入社します。
 高知市出身の絵里子さんは、県内で事務職員をしていた頃に漢方に興味を持ち、25歳で仕事を辞めて上京。薬日本堂の漢方スクールで学びながら、同社でアルバイトとして働くと、漢方を一生の仕事にしたいと思うように。その後、薬日本堂の社員となります。
 彰さん、絵里子さんともに、都内の百貨店などで相談員、店長を務め、同じ職場が縁で結婚。約10年間東京で暮らしましたが、絵里子さんが忙しさから体調を崩したことや、彰さんが以前から高知で住むことを望んでいたことなどが重なり、2019(令和元)年に高知へ。
 「いずれ高知に戻って店を持ち、高知を養生の街として盛り上げたいと考えていました。漢方では、体は自然の一部と考えますが、都会は夜も明るく、人が忙しく働くなど、不自然なことが多いです。逆に、高知は自然に囲まれ、旬の食べ物が身近にあって養生に適していると感じます。私も高知に戻ってから生活リズムが整い、体質が良くなりました。疲れた人が、高知で心と体を癒やせるような場を提供していけたら」と絵里子さん。「元気な体で、元気に働く人が増えて、高知がもっと元気になってほしいです」と彰さん。
 地域の人の健康に関わりながら、健康産業の一つとして経済の活性化に貢献することを2人は目指します。





ナツメ・クコ・高麗人参などが入った「薬膳スターターキット」。薬膳料理が手軽に作れる

ナツメ・クコ・高麗人参などが入った「薬膳スターターキット」。薬膳料理が手軽に作れる




プロフィール
金子彰さん
大学で薬学を学び薬剤師に。薬日本堂に入社し、都内百貨店の店舗で働く。3年前に高知に移住し、調剤薬局で勤めた後、金子漢方薬局を開業。神奈川県出身。35歳

金子絵里子さん
25歳で上京して薬日本堂の漢方スクールで学び、後に同社の社員に。その後、帰郷して金子漢方薬局を立ち上げ、共同経営者に。医薬品登録販売者、国際中医専門員。高知市出身。41歳


カウンセリングで自分を知る

 「四季のサイクルとそれに伴う体の変化に目を向け、一年を通して体を整えるのが養生です。例えば、6月は雨が増え、湿度が上がるため、消化器系が弱まり、胃が不調になりやすいです。腹八分目を心がけて」と絵里子さん。そんな養生の方法を、一人一人の体質に合わせてアドバイスするため、重視するのがカウンセリングです。お客さんの症状や生活習慣、性格、悩みまでを絵里子さんが丁寧に聞いて改善策を考え、その見立てを基に彰さんが漢方薬を調剤しています。
 開業以来、老若男女が相談に訪れるという同薬局。2人は、薬局の在り方にも思いを巡らせます。「昔、薬局は病院に行く前に、病院を受診すべきかを含めて相談できる場でした。かつての薬局のように、地域の人が気軽に健康について相談できる場でありたいです」


「カウンセリングでは、お客さまがご自身で体質改善を頑張れるよう、モチベーションを上げられるよう努めています」と絵里子さん

「カウンセリングでは、お客さまがご自身で体質改善を頑張れるよう、モチベーションを上げられるよう努めています」と絵里子さん






高知県産のお茶などをブレンドしたオリジナルの健康茶「養生茶」「日日茶」は、ギフトとしても人気

高知県産のお茶などをブレンドしたオリジナルの健康茶「養生茶」「日日茶」は、ギフトとしても人気



健康のためにできることから

 漢方を身近に感じてもらおうと、さまざまな工夫も。店内では生活に取り入れやすい健康茶や薬膳食材などを販売するほか、漢方に関する書籍が読めます。また、SNSやセミナーで養生の基礎知識や旬の食材で作る薬膳レシピなども紹介。簡単なことから健康のためにできることを始めてほしいという思いを込めて。
 また、宿で泊まり、食やヨガ、川遊びで心身を癒やせる旅の提案など今後の構想も広がっています。その根底にあるのは、食、運動、休養と、トータルで健康をサポートできる環境をつくること。「心も体も健康だと、幸せでいられますから」と絵里子さん。
 おろそかになりがちな自分の体のこと。その声を、今、ちゃんと聞いてみませんか。未来の自分の幸せのために。


西洋薬と漢方薬両方の知見が深い彰さんは、お客さんに合った薬を、普段飲んでいる薬を把握しつつ調剤するそう

西洋薬と漢方薬両方の知見が深い彰さんは、お客さんに合った薬を、普段飲んでいる薬を把握しつつ調剤するそう



神奈川県で薬局の薬剤師をしていた彰さんの祖父の写真が飾られている

神奈川県で薬局の薬剤師をしていた彰さんの祖父の写真が飾られている


調剤室に並ぶ、植物の葉や茎、根などから作られた生薬。一つ一つ品質にこだわって仕入れているそう

調剤室に並ぶ、植物の葉や茎、根などから作られた生薬。一つ一つ品質にこだわって仕入れているそう




●読者プレゼント
養生茶「きいろ」「あか」「あお」(各5袋入り)3種セットを1人にプレゼント。ご応募はプレゼント応募フォームよりどうぞ。


◎金子漢方薬局
高知市桜井町1-5-33
問/088-874-5874
営/9:00〜18:00
休/火・水・祝
Instagram/@kaneco_pharmacy
HP/https://kaneco-pharmacy.com
※食品は、店舗とオンラインショップで販売
※カウンセリングは要予約

掲載した内容は発行日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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