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2022.05.13 08:00

【埋没する野党】政治に緊張感が必要だ

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 7月10日が予想される参院選投票日まで2カ月を切った。「今年最大の政治決戦」と位置づけ、選挙区の擁立作業をほぼ終えた与党に対し、野党側は足並みの乱れが目につき、臨戦態勢づくりが遅れている。
 参院選は、ロシアのウクライナ侵攻に伴う物価高騰対策や安全保障問題、新型コロナウイルス対策、さらに憲法改正などが主な争点、焦点になり、勝敗はそれらの行方にも大きく影響する。重要テーマで拙速な結論を避けるには、政治の緊張感が欠かせない。巨大与党と対峙(たいじ)できるよう存在感を高めることは、野党に課せられた責務だ。
 野党第1党の立憲民主党は、昨年の衆院選敗北を機に「政策提案路線」に転じた。今国会では、コロナ対応の関連法案を矢継ぎ早に出して政策立案能力をアピール。政府が重要法案とした経済安全保障推進法の採決も、必要性を考慮し、党の主張を付帯決議に盛り込んだ上で賛成する現実的対応を取った。
 だが共同通信社の世論調査では、今年1月まで10%を超えていた政党支持率が2月以降は1桁が続く。低迷の一因には、政権の追及に迫力を欠くためとの指摘もあり、「批判・対決路線」との間で揺れているようにも映る。
 他の野党勢力との連携、調整にも苦心する。最大の支持団体の連合から共産党との選挙協力を反対され、共産と共通政策への署名を取りやめるなど共闘関係は後退した。
 一方、連合は参院選の基本方針で支援は「人物重視」とし、支持政党を明示しなかった。自民党からのアプローチに応じて、自民との距離を縮める動きもある。
 旧民主党の流れをくむ国民民主党も与党に近づく。ガソリン高騰対策の「トリガー条項」の解除検討を理由に2022年度予算案に賛成し、自民、公明党と3党協議を継続している。立民や共産とは距離を置き、「改革中道」の野党像を描く。
 日本維新の会は、改革志向を強め、保守層への浸透を図る。公務員改革を巡って連合は反発し、野党共闘とは一線を画す。
 共産は立民との候補者調整の余地を残すが、参院選では32ある改選1人区のうち、現時点で20人弱を擁立する見込みだ。
 こうした中、直近2回の参院選では1人区全てで統一候補を擁立した野党だが、今回、事実上の与野党一騎打ちになるのは10選挙区ほどにとどまる見通しとなっている。
 野党候補が乱立する選挙区もある。与党に利する形になるにもかかわらず、各党、各選挙区の事情で引けないようだ。不利な構図と分かりながら候補者調整ができない現状は、課題の根深さも物語る。野党は改めて足元を見つめ直すべきだ。
 政府は物価高騰対応の緊急対策として22年度補正予算案を決め、終盤国会では、審議する予算委員会も開かれることになった。攻め手を欠いていた野党は見せ場を得た形でもある。まずは目の前の論戦で、存在感を発揮することも重要だ。

高知のニュース 社説

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