2022.04.27 08:40
五台山の展望台4/28閉鎖 耐震性不足で高知県、朝ドラ需要見込んだ〝延命〟断念
28日に閉鎖されることになった五台山の展望台(高知市吸江)
展望台はもともと、1969年に民間事業者が開業したロープウエーの乗降場だった。81年にロープウエーが廃止となった後は、県が事業者から譲り受け、乗降場を改装して管理。観光やデートの人気スポットになっていた。
県は耐震性不足の判明を受け、建て替えを検討する一方、一時的な措置として見晴らしの良い屋上の開放を続け、23年度から解体に着手する予定だった。今年2月、来春からの「らんまん」放映が決定。県立牧野植物園がある五台山には多くの観光客が訪れるとみて、解体を1年先送りする方針を決めた。
4月中旬の県議会で県土木部は、展望台を季節の草花で装飾し、周辺に飲食を提供するスペースを設ける「おもてなしサービス」の実施について説明。室内に観光客が入るのは屋上に向かう階段を使う時だけに限り、非常時の避難経路にもなる下り用の外付け階段を設置するなどの対応策を示し、「できるだけ危ない所に人が滞留しない形を取って安全性を確保したい」と理解を求めた。
しかし、議会側は与野党ともに万一の危険性を心配する声が続出。「(観光客に)来ていただいて施設を利用させるなら、100%大丈夫と言えないと難しい」「何かあった後に『耐震性はなかったがもてなすために何とかしたかった』という申し開きが通用するのか」などと指摘し、県に再検討を促した。
これを受けて県は方針を転換。4月末からの大型連休も「らんまん」効果で例年以上の観光客が見込まれることから、急きょ連休前の閉鎖を決めた。
土木部は「代替案として一定の高さがあるテラスの設置などを検討する」としている。(大山泰志)