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2022.03.01 08:00

【ロシア金融制裁】停戦へ結束して圧力を

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 ウクライナに侵攻したロシアに対し追加制裁が表明された。米国や欧州は、国際決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からロシアを排除すると決めた。
 日本も取り組みに加わる。国をまたぐ国際送金や決済が大きく制限されることになる。
 この制裁の導入には、経済的な結びつきが強い国や地理的に近い国に慎重論が根強かった。このため、当初発動された制裁からは除外されていた。一転して各国が結束したのは、ロシアが強硬姿勢のままで情勢が深刻化したことが背景にある。
 天然ガスをロシアに依存するため、排除に消極的だったドイツも条件付きではあるが容認に転じている。ドイツは海底パイプラインの稼働手続きを既に停止している。対話重視だった対ロ政策を変化させたのは、政権の交代が主因ではないことをロシアは認識するべきだ。
 ロシア経済は、基幹産業であるエネルギー輸出の決済ができなくなると打撃は大きい。連携した金融制裁や輸出規制を圧力にして、行動を変えさせていくことが必要だ。
 制裁には、各国金融機関とロシア中央銀行との通貨ルーブルの売買を制限する方針も含まれる。急落しているルーブルをロシア中銀が買い支えることを防ぐ。ルーブルの暴落で急激なインフレが想定される。ロシアが行動を思いとどまらないと、国民生活の疲弊も避けがたくなる。
 一方、こうした措置は世界経済にとっても試練を迫る。ロシアへの強い制裁が長引けば、高値圏にある石油や天然ガス価格がさらに上昇するなど、自国経済にも悪影響が大きくなる恐れがある。長期化させないためには、協調して実効性を高めることが欠かせない。
 日本にとって米欧と足並みをそろえた制裁は、北方領土交渉を念頭に置いた対ロ融和外交の転換を意味する。プーチン大統領を含めたロシア政府関係者に資産凍結などの措置も取ることにした。領土交渉は進展させたいが、各国との協調から逃れるわけにはいかない。力による現状変更が許されないのは当然だ。
 プーチン氏は核抑止力部隊を高い警戒態勢に置くように命じた。事態をさらに不安定化させる姿勢であり、容認できない。
 ロシア軍の一部は進軍を停止したとの報道がある一方、散発的に攻撃が続いているようだ。死傷者数が増えている。また40万人近くが避難したとみられ、400万人に達する恐れがあるとされる。
 ロシアとウクライナは停戦交渉に入った。ロシアは戦闘激化による国際的な批判を回避したい思惑とともに、軍部隊の圧力を背景に交渉を有利に進めたいのだろう。停戦を急ぎたいが、折り合うのは簡単ではない。国際社会の粘り強い監視と包囲が必要となる。
 スポーツ界も、ロシアや侵攻拠点となったベラルーシでの国際大会の中止や代替地での開催発表が相次いでいる。国家の威信を損ねていることを重く受け止めることだ。

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