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2022.01.20 08:00

【コロナ重点措置】全力で社会機能の維持を

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 新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の急拡大を受け、政府は首都圏や香川県を含む1都12県に「まん延防止等重点措置」を追加適用すると正式に決定した。期間は21日から来月13日まで。行動制限緩和のための「ワクチン・検査パッケージ」も原則、一時停止する。
 国内で1日当たりの新規感染者が4万人を超え、流行「第6波」の拡大に歯止めがかからない。あらゆる対策を講じて、現実味を帯びつつある医療体制の逼迫(ひっぱく)や社会機能への影響を防ぐ必要がある。
 オミクロン株の感染力は驚異的というほかない。デルタ株が主流の第5波では1日当たりの新規感染者が1万人から2万人に達するまで約半月を要したが、第6波ではわずか2日で2万人に倍増した。
 重症化するリスクは低いとされるものの、感染者数がこの勢いで増加すれば医療体制の逼迫につながりかねない。感染の拡大に伴って重症者数は増加傾向にある。
 3回目となるワクチンの追加接種はオミクロン株にも有効とされる。岸田政権も接種前倒しを掲げたが、第6波には間に合わなかった。経済社会活動の本格化へ期待も高まっていたが、感染拡大を抑制するには一定の行動制限も取らざるを得ない局面だろう。
 重点措置の適用地域は、従来の3県と合わせ16都県に広がる。各知事が飲食店の営業時間短縮や酒類提供の在り方などを判断する。大阪、京都、兵庫の3府県も必要な段階で一斉に要請する方針を確認した。
 岸田文雄首相は、これまで観光や飲食、イベントなどで行動制限の緩和に活用してきたワクチン・検査パッケージも原則的に一時、停止する方針を示した。
 パッケージはワクチンの感染防止効果を前提とした制度だ。オミクロン株の感染力に加え、2回の接種から時間がたち効果の低下が指摘される現状では見直しによる対策強化はやむを得まい。知事の判断で継続もできるが慎重な対応が必要だ。
 ただ、丁寧に説明する姿勢を欠いたのではないか。突然の方針転換に関係業界が困惑しているという。柔軟に政策を見直す必要もあるが、一方で綿密さも求められる。
 政府が通常国会に向けて検討していた、病床確保を強化する感染症法改正案などの提出見送りにも首をかしげざるを得ない。
 感染力が極めて強いオミクロン株は、従来の流行規模を大きく上回る恐れが強い。第5波では自宅療養中に入院もできず亡くなるケースが相次いだ。病床確保や自宅療養時の健康観察、行政と医療機関の連携などは喫緊の課題だ。
 岸田首相は見送りの理由を「中長期的な課題の洗い出し」としたが、今夏の参院選をにらみ感染症対策が争点化する事態を避けたとの見方もある。どちらにしても、多くの国民が納得できまい。
 国会は政府のコロナ対策に理解を求める場となったはずだ。政府は自らその機会を先送りしたと言える。

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