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2021.10.28 08:43

安藤桃子さん初エッセー集、11月刊行「ぜんぶ 愛。」高知移住7年「ここが最先端」

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「『七光八起き』の半生です」と話す安藤桃子さん(高知市追手筋2丁目のオーテピア高知図書館)

「『七光八起き』の半生です」と話す安藤桃子さん(高知市追手筋2丁目のオーテピア高知図書館)

 映画ロケをきっかけに高知市に移住して7年、映画監督の安藤桃子さん(39)の半生を振り返る初エッセー集「ぜんぶ 愛。」が11月5日(高知県内は6日)に刊行される。芸能一家で育ったこと、映画や高知のこと…、愛が詰まった一冊だ。

 「ここから革命を起こします」。そんな壮大な覚悟で2014年に移住した。映画「0・5ミリ」のロケで旧高知東映(同市帯屋町1丁目)の建物に出合い、復館を思い立った。「思いがあれば形になっていなくても走っていい。高知で教えてもらった一番大事なことです」と振り返る。

 紆余(うよ)曲折ありつつ、17年、同市内に映画館「キネマM」(リニューアル工事中)をオープン、19年には文化フェス「カーニバル00in高知」も企画した。その間に結婚、出産、離婚…。〈女の一生濃厚凝縮。感情のジェットコースター〉という日々も経験した。

 日本経済新聞に昨年1~6月に連載したエッセーを読んだ高知出身の編集者から「高知愛を本に」と提案され、「自分はどう生きていたいのか」を念頭に大幅加筆した。

初エッセー集「ぜんぶ 愛。」。表紙絵も自ら手掛けた

初エッセー集「ぜんぶ 愛。」。表紙絵も自ら手掛けた

 父は俳優の奥田瑛二さん、母はエッセイストの安藤和津さん。七光の呪縛から逃れるように15歳で英国留学し、〈変えるのは環境ではなく、自分の捉え方だと気づいた〉と思考の原点をつづる。

 18歳の時に父の監督作品を手伝い、映画に恋をした。尊敬する父ではあるが映画製作で借金を背負うなど振り回され続けてきた。

 「笑いながら書けたのは母のおかげ。困った時は祖母の口癖『死にゃしない』を思い出す。このおおらかさが高知県民に通じる」

 文中には愉快な土佐人も登場する。作ったいすを家のガレージに並べ「いくらなら買う?」と迫るおじさん、デートを勝手に段取るおじいちゃん。「この距離の近さは東京ならあり得ない」。また、自身の子育てにも言及。県外出張の際には仲良しの3家族が持ち回りで6歳の娘を預かってくれ、「とっちらかった私を見て、『見ちゃあおれん』と面倒をみてくれる人が多いのかも。高知の皆さんに本当にお世話になりっぱなしです」。

 昨年から同市春野町の畑で育てた大豆で、みそを仕込む食育活動を実践。女性誌の「SDGs(持続可能な開発目標)」特集の巻頭面を飾った。「『最先端はここだ』と移住は感覚的に決めたけど自分が何を求めているか、後追いで理解してきた」

 集英社インターナショナル。1650円。(村瀬佐保)

11月5、7日トーク会
 発刊記念トークイベントを11月5、7日に同市内で開く。5日午後6時から金高堂書店本店。予約先は同店(088・822・0161)▽7日午前10時から高知 蔦屋書店。詳細は同書店(088・882・5544)か公式サイトへ。いずれも本の購入者が対象。

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