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2021.10.14 08:35

「農福連携」以外も拡大 高知・安芸地区、林業・水産・更生支援…福祉と産業つなぐ

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農閑期対策のオクラを袋詰めする「TEAMあき」の利用者(安芸市本町3丁目)

農閑期対策のオクラを袋詰めする「TEAMあき」の利用者(安芸市本町3丁目)

 農業と障害者福祉とのコラボレーションで共生社会の実現を目指す農福連携。高知県内先進地の安芸エリアでは、地域の理解と協力を背景に、農業以外、障害者ら以外へと、取り組みの幅を広げ続けている。

 農福連携を始めた当初、安芸エリアでの障害者らの職場は主力産品であるナスの農園が中心だった。ただ、人によって作業への向き不向きがある上、ナスは収穫後の7~9月ごろは仕事がない。その間に生活リズムや心身のバランスを崩す人も少なからずいたという。

 安芸市農福連携研究会の会長を務めるJA職員、小松淳さん(47)は「仕事の種類や選択肢が多くなれば、よりマッチングがしやすくなる」と語る。実際、安芸エリアではより多くの人が活躍できる環境をと、受け入れ先の拡大に努める人々がいた。

■相互にメリット
 ナス農家の北村浩彦さん(54)らが昨年4月に立ち上げた多機能型事業所「こうち絆ファーム TEAMあき」は、農閑期対策でオクラ栽培を始めた。

 朝から作業場で袋詰めに励む利用者の中には「ここが好き。毎日来たい」と言う人も。そんな言葉にも刺激を受け「通年でナスが採れる水耕栽培にも挑戦し、仕事の確保を進めたい」と北村さん。ゆくゆくは商店街の空き店舗を利用した複数の飲食店経営も構想し「利用者を調理師や菓子職人として正規雇用し、経済的自立を後押ししたい」と夢を膨らませる。

 そのTEAMあきから週3日、3人を受け入れるのは同市大井の「土佐備長炭 一(いち)」。仕事は林業に当たるまき割りで、いわば「林福連携」だ。

「農福連携」から「林福連携」へ。まきの製造現場でも生きづらさを抱えた人の受け入れが進んでいる(同市大井甲の「土佐備長炭 一」)

「農福連携」から「林福連携」へ。まきの製造現場でも生きづらさを抱えた人の受け入れが進んでいる(同市大井甲の「土佐備長炭 一」)

 新型コロナウイルス禍で飲食店向けの炭販売が低迷し、7月からキャンプやストーブで使うまきの製造販売を始めたばかり。「事業を多角化する際に人手が必要だったので助かっている」と、代表の近藤寿幸さん(38)は喜ぶ。「農閑期対策にも貢献でき、互いにメリットがある。事業を軌道に乗せ、連携を続けたい」と意欲的だ。

 さらに「水福連携」も進行中だ。同市内で水産業を営む男性は、仕事に使う水槽の清掃などに従事してもらっているといい「シンプルな作業にも高い集中力で取り組んでくれる。仕事を通じて幸せを感じてもらえればうれしい」と話した。

■社会復帰の道へ
 当初は障害者やひきこもり経験者が中心だった支援対象者も広がりつつある。一例が、罪を犯した人の社会復帰への活用だ。

 高知刑務所は昨年度から、再犯防止に向けて農福連携の活用を模索してきた。担当者は「農業は産品、工程などの幅が広い。受刑者の特性に応じた就労が実現できる可能性がある」と注目する。

 まずは釈放が近い受刑者の社会奉仕活動から取り組みを始め、年内にもTEAMあきでナスの袋詰めボランティアに入る予定だ。「農業が選択肢にあれば、出所後に失業したとしても生計を立てやすい。再犯に至る恐れを小さくして社会に送り出したい」と先の担当者。今後は同じく更生支援に当たる高知地検や高知保護観察所とも連携し、取り組みを本格化させる考えだ。

 このほかにも、高齢者の生きがいや居場所づくり、介護予防など、多くの可能性を秘める農福連携。最初期から携わる安芸福祉保健所の公文一也さん(46)は「生きづらさを抱えた人はどんどん出てくる」とし「受け入れ先となる理解者をさらに増やすことが必要。それが、誰もが暮らしやすい地域づくりにもつながっていく」と思いを述べた。(森部智成)


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