2021.10.08 14:40
新聞づくりのテクニック③ 記事の書き方

逆三角形…大事なことから順に

これがもし、出来事の順序通りの文章だったら―。試合開始から順にプレーの様子がつづられ、肝心の結果は文末。チームの勝ち負けを知りたい人には回りくどく、分かりづらい文章になってしまいます。
記者は記事を書く前に、「この話で一番大事なポイントは何か」を考え、見出しのフレーズにします。それを文章化するように最初の段落を書き、その後の段落で状況の描写や人々の声などを盛り込んで、1段落目の内容を詳しく説明していきます。
大事なことから順に書くこの文章構成を「逆三角形」と言います。出来事の流れに沿って書くのではなく何が大事か、何が印象的だったか、何を一番伝えたいかなどを考え、そこから記事を書き始めてみましょう。
話は一つ…内容を絞ろう
書く内容を一つに絞ることも大事。多くの話を詰め込まず、最も伝えたいことを書きます。
遠足の話で記事を書くとします。バスの中で歌ったこと、工場の見学、仲良く弁当を食べたこと、公園でゲームをした話…。これらを全部書いた記事では、読んだ人は「で、あなたは何を一番伝えたいの?」と思います。伝えたいことが伝わりにくい書き方です。
もし「仲良く弁当を食べた」話を一番伝えたいなら、「仲良く食べたお弁当」といった見出しを決め、「先週の遠足ではみんな仲良くお弁当を食べ、とても楽しかった」などと書きます。そしてその後に、食べた場所やメンバー、会話などを盛り込み、伝えたい話を詳しく説明します。
その際、工場見学やバスの中の出来事などは、思い切って捨てましょう。どうしても伝えたいことが二つ以上ある場合は、複数の記事に分けて書き、紙面の割り付けで上手に配置してください。
さまざまな表現…イメージできるように
誰かが話したことを記事で書く時、よく使われるのは「(~と)話した」「言った」。しかし、この表現では、話した人がどんな様子、どんな表情だったのかなどは、読む人には分かりません。
「話す」という動作でも、多くの表現があります。「声を弾ませた」「声を震わせた」「語気を強めた」「うめいた」「打ち明けた」「つぶやいた」「言葉をにごした」「吐き捨てた」などなど。それぞれの言葉はどんな様子の表現か、考えてみてください。
このほか、「(~と)笑った」「胸を張った」「肩を落とした」「眉をひそめた」「目を細めた」など、別の動作で表す言葉もあります。ぴったりの表現ができれば、読む人がその時の様子をイメージでき、生き生きとした〝伝わる記事〟になります。ありきたりの言葉から一歩踏み出し、より伝わる表現を探してみましょう。
新聞づくりのテクニック① 大まかな手順について
新聞づくりのテクニック② 取材のこつ
新聞づくりのテクニック④ 見出しの付け方、レイアウトの仕方