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2025.08.31 05:00

小社会 二百十日

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 きょうは農家にとって台風が襲来する厄日とされる「二百十日」に当たる。雑節の一つで、暦にのったのは江戸時代初期というから案外古くはない。土佐の儒学者、谷秦山とも交流があった天文暦学者、渋川春海による。

 春海は海釣りが好きな人だった。ある日、舟で沖に出ようとすると老漁師に止められた。「きょうは立春から数えて二百十日になる。きっと海が荒れる」。案の定、大暴風雨になった。「これは尊い教えだ」。かつて本紙で作家、半藤一利さんが一説を紹介している。

 農業人口が多かった時代は、より身近な言葉だったのだろう。作家の幸田文にも70年余り前に随筆がある。いわく〈八月の末から九月のはじめへかけては、むづかしい季節だ〉。

 まだ秋の清涼はなく、夏がだらだらしている感じ。秋の気配もコオロギのか細い声に始まり、ごくかすかだと書く。〈自然の神様もそこの間の季節をどう引きしめようと考へて、二百十日二百二十日のあらしを置いたのだらうか〉

 ことしも猛暑が去らない「二百十日」になるようだ。ただ、この8月は全国で豪雨災害も相次いだ。熊本の記録的大雨。台風12号は、発生時点で九州に接近している珍しいケースだった。東北を襲う豪雨も近年増えている。経験則と合わない降り方が目立つ。

 本格的な台風の季節に備えたい。二百二十日、旧暦8月1日の「八朔(はっさく)」。9月は昔の人が気を引き締めた日が続く。

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