2025.08.20 05:00
小社会 右腕の快挙

元高知ファイティングドッグス(FD)の右腕はその点で長じていたようだ。先ごろプロ野球の連続無失点記録を更新した阪神の石井大智投手。評論家いわく、小柄ながら快速球を投げ込む豪快なフォームは、強靱(きょうじん)な下半身や胸郭の柔らかさなど「自分の長所を理解した」末のものだという。
それが形になったのも、己を知る意識があってこそだった。高専出身で土木や建築を専攻。物理学的な目線で自らを客観視した。ドラフト指名も最下位の8巡目。「自分が一番下手」との自覚が出発点だった。
プロで活躍するのは鳴り物入りで入った人ばかりではない。回り道をし、己を見つめ、その先に花が咲く歩みもある。四国の独立リーグの可能性も大きくアピールしたことだろう。
お盆の週末、久しぶりに高知球場でFDのナイターを観戦した。相変わらずカクテル光線に浮かぶ球場は美しく、そこで飲むビールは格別だ。
選手の野太い声、観客の声援は球場ならでは。力強い投球にバットが回る。乾いた打球音が球場に響く。あの選手が将来ひょっとして…。観戦の醍醐味(だいごみ)も一回り膨らましてくれる石井投手の快挙である。























