2025.06.24 08:35
観光客の実数に迫る 入場券、レジ通過、位置情報、手動、ドアセンサー 計測に工夫【なるほど!こうち取材班 パートナー紙とともに】

入り込み数を手動カウンターで計測する福井県越前市武生中央公園のスタッフ。統計に正確を期すため県内各施設が工夫を凝らしている=4月、同市高瀬2丁目
高浜漁港で水揚げされた新鮮な魚を扱う高浜町のシーフードマーケット「UMIKARA」。2023年の入り込み数は約26万2千人と紹介した本紙記事に、「県の発表と倍以上も違うのはどうして?」と読者からふくい特報班(ふく特)に投稿があった。県統計の観光客入り込み数は12万2千人。確かに開きがある。
町に尋ねると、「県には地元の利用者を除いて報告している」との回答。指定管理者の会社「うみから」では、おおい町や京都府舞鶴市も含む近隣30キロ圏内からの来訪者は、観光客ではなく日常利用とみなして統計を取っているという。
算出にはいくつもの段階を踏む。基になるのはレジ通過数。それに1組当たりの平均人数を掛ける。県内外の区分けのため決まった期間に駐車車両のナンバーをチェック。日常利用とみられる一定割合は除外する。「だいたい夏場なら観光客7割、冬場は地元が7割」。時期ごとに調べた割合を当てはめ、できるだけ実数に近い観光客数を出せるよう努めている。
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県内観光地で入り込み数首位の常連となっている越前市武生中央公園。23年は135万3千人が訪れた。同市出身の絵本作家かこさとしさん監修のだるまちゃん広場が親子連れに人気だ。
平日午後4時。指定管理者スタッフの小杉芳昭さん(50)が園内の巡回を始めた。手には日本野鳥の会でおなじみのカウンター。遊具で楽しげに跳びはねる子どもたちを目で追い、慣れた様子でカチッ、カチッ。この時間にいたのは計40人だった。
計測は雨でも雪でも毎日欠かさず3回。報告を受けた市が、国の公園利用実態調査が示す平均滞在時間から、1日に入れ替わりで訪れる組数の「回転率」を計算して入り込み数を割り出す。「休日だと何百人もいるから大変。でも適当にやるわけにはいかないので」と小杉さん。統計の裏には現場の地道な作業があった。
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計測方法はほかにもさまざまで、県立恐竜博物館(勝山市)など入場券を販売する施設は、実数をそのまま反映。一乗谷朝倉氏遺跡(福井市)は、有料の復原町並の入場者数に係数を掛けてエリア全体の数を算出する。県こども家族館(おおい町)のように入り口自動ドアのセンサーで実測しているケースもある。
一方、東尋坊や丸岡城がある坂井市は、携帯電話の位置情報サービスによる計測を20年に導入した。DMOさかい観光局の担当者は「根拠がない数字では、何の戦略を立てるにも使えない。前年と乖離(かいり)が出ないように、なるべく同じ方法で計るのも大事なポイント」と指摘する。
県観光政策課によると、県内の入り込み数合計は、一度の観光で県内客は約1・6カ所、県外客は約2・3カ所を巡るとのデータを基に、各観光地の総計から重複を除いて算出している。24年3月の北陸新幹線延伸効果が初めて表れる同年の統計は6月の公表を予定している。(福井新聞)
県民・読者とつくる調査報道企画、高知新聞「なるほど!こうち取材班」(なるこ取材班)。連携する全国のパートナー紙の記事や県内の状況を随時掲載で紹介します。
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