2025.01.22 05:00
【トランプ大統領】自国第一に高まる警戒感

トランプ米大統領が就任した。就任式で「黄金時代が始まる」と主張した。気候変動の国際枠組み「パリ協定」からの再離脱や世界保健機関(WHO)脱退などの大統領令に署名し、政策転換を誇示した。
4年前の就任式ではバイデン前大統領が、1期目のトランプ政権下で深まった分断の修復に取り組む決意を語った。トランプ氏は大統領選での敗北を認めず、直前には議会襲撃事件が起きていた。
だが、対立がさらに深まったことはトランプ氏が圧勝した今回の選挙結果に見て取れる。「米国を再び偉大に」の呼びかけは、多様性など理念を重視する政策に否定的な岩盤支持層にとどまらず、景気回復の恩恵から取り残されてインフレに苦しむ労働者らを引きつけた。虚偽を交えた攻撃的な姿勢への支持が有権者のいらだちを物語るようでもある。
トランプ氏の就任演説は国民の団結が戻りつつあるとする一方、対立をあおる文言も目立った。独善的な姿勢が一段と強まる。
政府高官は忠誠心を重視し、異論を唱える職員は排除する。専門知識のある実務経験者がいなくなることが想定される。バイデン氏は退任演説で権力の集中と乱用に警鐘を鳴らした。だがトランプ氏に気にかける様子はうかがえない。
大手企業は新政権との関係修復を図る動きを活発化させ、就任式への寄付が相次いだ。司法も迷走感が漂う。議会襲撃事件などは大統領選の結果を受けて起訴取り下げなどで終結した。不倫口止めに絡む事件でニューヨーク地裁は有罪評決を維持しつつ刑罰を見送った。
トランプ氏は議会襲撃事件の服役囚らの恩赦を発表した。政治的暴力を許容する風潮につながることが危惧される。民主主義を揺るがせ、分断がさらに進みかねない。
主張していた新たな関税措置の発動は就任初日は見送ったものの、カナダとメキシコからの輸入品には2月から課す意向を表明した。記録的なインフレを終わらせる考えだが、副作用も多い。関税を絡めて有利な条件を引き出す手法は貿易にとどまらない。北極圏グリーンランドの領有権やパナマ運河管理権など他国の主権にも踏み込もうとする。
不法移民対策では、南部国境に軍隊を派遣し、強制送還を進めるとする。一方で労働力の減少や送還費用の問題ものしかかる。
ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢で戦闘終結へ仲介に乗り出す考えを示す。イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意は、双方がトランプ氏を意識したとされる。安定維持へ関与を続ける必要がある。
中国への強硬姿勢は変わらず、その一環で日本への要求を強める可能性がある。日本の主体的な対応が求められる。関係を築く外交の重要性が増している。























