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2024.09.28 05:00

小社会 ワンマン宰相の憂い

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 本県選出の吉田茂元首相はおのれを語るのが好きではなく、退任当初は回顧録の類いを拒んでいたようだ。それが周囲の熱意と根気で「まんまと、禁を破らされてしまった」のが1957年に出版された「回想十年」になる。

 戦後、新憲法によって民主政治は確立された。しかし、当時の政治のあり方はまだ発展途上とみていた節がある。〈真に民主政治が確立されるまでは、国民は深き注意を以(もっ)て、常に政治、政局の推移を監視せねばならぬ〉

 カネがかかり過ぎる選挙、政治も憂えている。〈それは結局国民の負担となり、政治資金の乱費となる。ひいては政治の腐敗、道義の低下を助長する〉。出版から70年近く。政治は長く同じ問いを繰り返しているのかもしれない。

 きのうの自民党総裁選を石破茂元幹事長が制して事実上、次の首相に決まった。父親が旧制高知高校出身。来高しては、父のよさこい節はうまくなかったという小話を披露する。地方創生にも熱心で、近しさはある。

 ただ、最初の壁は総裁選の出発点だった「刷新」だろう。石破氏は、いわゆる裏金議員を次の選挙で公認するかを「徹底的に議論すべきだ」。だが、旧安倍派などの反発を案じてか、すぐに主張を弱めた。今後は自ら言う「国民目線」でどう向き合うかが試されよう。

 近づく衆院選は一般の有権者も判断する。〈監視せねばならぬ〉。ワンマン宰相が残した言葉を心したい。

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