2026年 03月08日(日)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知龍馬マラソン2026写真販売
高知新聞PLUSの活用法

2024.09.01 13:14

人情、食、自然の豊かさ 高知の幸せおすそわけ 川柳・俳句・短歌企画に582作品  高知新聞社120周年事業

SHARE

 創刊120周年事業の一環で高知新聞社が募集した、身の回りや高知にまつわる「幸せ」を詠んだ川柳や俳句、短歌に、県内をはじめ全国各地から582作品(287人)の応募をいただきました。家族の触れ合いや仲間との交流のほか、カツオやユズなど高知を代表する食、自然の豊かさをテーマにした作品が目立ちました。読んだ人も“HAPPY”な気持ちになる作品の数々を紹介します。(掲載された方への副賞は後日お送りします)

■心地よい高知の空気

柑橘(かんきつ)の香りどすんと高知から
 佐々木恭司さん(77)横浜市保土ケ谷区

 8年ほど前、高知に住む妻の友人から横浜市の自宅にブンタンなどの詰め合わせが届きました。ずっしりと重たい段ボールを開くと、部屋中に広がるさわやかな香り。心地よい高知の空気に包まれ、幸せを感じたことでした。

 この喜びを何かの形で伝えたいと、すぐに動画を撮影しました。箱を開ける瞬間、「うわっー!」と少しオーバーリアクションしたのを思い出します。お返しには秋田県の実家で栽培しているリンゴを送りました。

 その後も何度かやりとりが続き、息子や娘も含めた家族の楽しみになっていました。しかし、その友人は1年ほどで他界。今は残念ながら高知を感じる機会は少ないですが、妻はスーパーでかんきつ類を手に取ると、高知に思いをはせています。

まわり道こんなところにトサミズキ
 なつ(50代、東京都練馬区)

女子会で止まらぬおしゃべり芋けんぴ
 風信子(60代、東京都練馬区)

女房のへそくり見つけ初鰹
 貴田雄介(30代、熊本市)

悠久の時で繋(つな)がるモネの庭
 桜(10代、静岡県藤枝市)

亡き義母のサンゴ胸もと朱の守り
 潮風(60代、神奈川県茅ケ崎市)

夕凪の浜の週末アイスクリン
 近江菫花(60代、大津市)

五台山友は彼女に彼となり
 ルーキー(40代、山梨県中央市)

県人会冷酒に酔って鳴子持つ
 有田耕三(70代、兵庫県相生市)

共稼ぎ家事は文旦酔い夫婦
 横手敏夫(70代、埼玉県宮代町)

ふるさとの旬を近所にお福分け
 かばくんのかば(70代、札幌市)

不合理な世間の壁や日々のなか
泣きたいときは広末涼子
 戸田なお(50代、仙台市)

ひろめから大橋通に帰る道
久方ぶりに妻の手をとる
 ヒメ父(60代、千葉県茂原市)

暑い夏よさこい見れば高齢の
我もみなぎる参加魂(だましい)
 わっしょい(70代、福井県坂井市)

やっぱりね高知と言えばたたきでしょ
言いつつ朝の市で買う瓜
 石井かおり(20代、名古屋市)

年一度南風に乗り二時間半
夫と食べる鰹のタタキ
 しろねこ(40代、大阪市)


■妹溺愛の息子たち いとおしく
 土佐市の橋本麻耶さん(40)

思春期ボーイ妹愛でて目がハート
そんなあなたがあたしは愛(いとお)しい

生まれたばかりの妹を兄弟で囲んだ自宅での最初の記念写真。みんな目がハートだ(2022年6月=橋本さん提供)

生まれたばかりの妹を兄弟で囲んだ自宅での最初の記念写真。みんな目がハートだ(2022年6月=橋本さん提供)

 土佐市高岡町乙の看護師、橋本麻耶さん(40)は4児の母。2年前に長女の彩生(あおい)ちゃんが生まれた途端、思春期まっただ中の息子3人がデレデレになってしまい、その様子がかわいくてたまらないという。

 長男の虎治(こはる)さん(16)、次男の朔良(さくら)さん(14)、三男の千輝(ちあき)さん(11)。それぞれが妹のおむつを替えたり、お風呂や寝かしつけたり、かいがいしく手伝いをする。麻耶さんは「上の3人の子育て中はとにかく大変で、覚えてない。今は本当に楽です。助かっています」。

 年の離れたきょうだいにもともとあこがれがあったという。妊娠が分かった時は「ママのおなかに赤ちゃんがいます」とメッセージ入りケーキで報告し、マタニティーフォトも家族で一緒に撮影した。「生まれるまでの過程を存分に楽しませたのが良かったのかも」。買い物に行く時は3人が率先し、妹の手をつなぐ。麻耶さんは、そんな後ろ姿に胸がキュンキュンしっぱなしだとか…。

 次男の朔良さんは先日、高知新聞の防災プロジェクト「いのぐ」で特派員として東日本大震災の被災地、宮城県を訪問。震災遺構の見学や語り部の話に耳を傾け、「大好きな家族を守るために」と防災意識を高めた。高知へ帰り、妹を恋人のように抱きしめた次男。麻耶さんは「妹をかわいい、かわいいと言う息子たち。母はそんなあなたたちが一番かわいいよと、大きい声で言いたい」と目尻を下げた。(村瀬佐保)


■佐賀から君住む土佐に来て
 依光ゆかりさん(78)高知市塩田町

トンネルを抜けて君住む土佐に来た
あの日につづくけふのあをぞら

バイクを背に寄り添う依光ゆかりさんと夫の邦憲さん。応募を勧めたのは邦憲さんだった(高知市内)

バイクを背に寄り添う依光ゆかりさんと夫の邦憲さん。応募を勧めたのは邦憲さんだった(高知市内)

 生まれ育った佐賀県を離れ、依光ゆかりさん(78)が高知市に嫁いだのは1970年12月、25歳の時だ。宇高連絡船で瀬戸内海を渡り、高知行きの土讃線列車へ。険しい山あいを走る鉄路に、同行の母と「トンネルが多いね」と語り合った。高知に到着した時に見た、晴れ渡った青空は今も目に焼き付いている。

 一つ年下の夫の邦憲さん(77)とは福岡県の薬科大で出会い、結婚を考える仲に。ゆかりさんの父が一時難色を示したが、最終的に許しを得た。九州三大歌人、中島哀浪(あいろう)を師に短歌をたしなんだ母の影響で、自身も短歌作りに励んだ。

 「短歌のおかげで交流が広がった。私も今ではすっかり土佐人です」。今年3月に勤務していた薬局を退職したが、県歌人連盟会長、椋庵文学賞などの選考委員を務めるなど忙しい日々を送る。

 県の衛生研究所長を務めた邦憲さんは、これまで42台のバイクを乗り継いだというライダー。「このオイル臭い亭主に文句も言わずよく付いてくれた」と笑う傍らで、ゆかりさんは「夫が乗せてくれるバイクの景色から数々の歌が生まれる」。今回の歌に詠んだ“君”との関係は今も良好だ。(村瀬佐保)


■よみがえる少年時代
肺胞に福の気満ちる土佐の山
キャンプの炎友と囲みぬ
 日浦和志さん(68)香南市野市町

 定年を機に高知へ戻り、自然の豊かさを再発見する毎日です。短歌に詠んだのは、昔の仕事仲間に誘われ、仁淀川町の星ケ窪キャンプ場で車中泊した時の思い出。たき火を眺めながら少年時代の記憶に思いをはせ、酒を酌み交わす幸せを感じたものでした。

 馬路村で生まれ、小中学生の時はアユを突いたり、鳥を捕まえたり。豊かな自然の中で育ちました。高校で村を離れ、卒業後は電力会社に就職。西日本などを40年以上転々とする生活が続きました。

 「保守の仕事は責任が出てくると大変やったな」と現役時代の苦労話に花を咲かせました。さらに夜が更けて盛り上がったのは、お互いの健康の話。これからも、ぼけないようにどうやって過ごそうかと語り合いました。

「まあ一杯!」見知らぬ人が寄ってくる
 桑名孝雄(80代以上、香南市)

青梅は鈴生り風は不入山より
 松岡恵子(80代以上、津野町)

高知来て見た目に驚く山菜を食べて仰天料理の力
 ゆうな(40代、本山町)

虹住まう水底ゆらり仁淀川
 PP(50代、香美市)

そよ風は柚子の香りよ奈半利川
 大久保浩司(40代、高知市)

幸せはスダレ一枚土佐の夏
 滝本豊(70代、土佐市)

サチ、サチと耳に残るは鳴子の音
 大崎直三(70代、高知市)

幸いだ今も戦後が続いてる
 今久保正博(70代、南国市)

よさこいを孫と踊れるうれしさよ
 みかちん(50代、高知市)

祭足袋線路またいで行きにけり
 さやか(30代、高知市)

ふんわりと5月に漂う文旦の
花の香りに心トキメク
 微(30代、須崎市)

家猫になりし姿を窓越しに
見守る地域の人の優しさ
 美佳(40代、高知市)

初採れの豌豆(えんどう)ごはん炊きあがる
湯気の向こうに妹の笑顔
 如月(80代以上、高知市)

嫁いでは生業になる宗田節
だしの旨みに深みを知りて
 ぽみぴ(40代、土佐清水市)

仏手柑(ぶしゅかん)をめじかの新子にしたたらせ
あとはいうまい土佐の人には
 岐浦繁実(土佐清水市)

高知のニュース 文学 高知新聞からのお知らせ

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月