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2024.06.18 05:00

小社会 脱マスク

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 出張で東京を久々に訪れた。新型コロナウイルスが収まったわけではないが、電車も店内もマスクを着けない人がほとんど。ほっとすると同時に、少し戸惑いも感じる光景だった。

 そんな中、立ち寄った書店でふと、オルコットの小説「若草物語」が目に留まった。4姉妹の成長を描いた19世紀の名作。昔読んで印象に残っているのは三女ベスが「猩紅(しょうこう)熱」にかかり、生死の境をさまよう場面だ。

 医学事典によると、溶レン菌による感染症の一つで、かつて日本でもたいへん恐れられた伝染病という。明治時代の徳冨蘆花の小説「不如帰(ほととぎす)」にも感染した子どもが亡くなる話が出てくる。

 いまでは抗生物質が普及し、怖い病気ではなくなったが、病原菌を侮ってはならない証しだろう。致死率30%以上という、とんでもない溶レン菌の感染症が国内で話題になっている。ことしの患者数は既に977人と過去最多だった昨年の年間数を超えている。

 発熱や血圧低下の後、症状が急激に悪化し、手足の壊死(えし)などが起きる。その恐ろしさから正式名称とは別に「人食いバクテリア」の呼び名もあるとか。「重症化のメカニズムはまだ解明されていない」「有効な薬事承認されたワクチンはない」(厚生労働省)のも悩ましい。

 発症はまれだというが、厚労省は対策として手指の消毒やせきエチケットなどを呼び掛けている。マスクを心置きなく外すのはまだ早いのかもしれない。

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