2024.06.15 08:44
自分も、周囲の命も守ろう 「いのちの石碑」建立進める宮城・女川の被災体験者、いの町伊野中で授業

被災時や石碑建立の活動などを説明した阿部一彦さん(左)と伊藤唯さん=いの町の伊野中学校
女川町は2011年3月に14・8メートルの津波に襲われ人口の約1割の827人が犠牲になった。発生直後に地元中学に入学した生徒らが、後世の人の命を守ろうと石碑建立を発案。募金活動を行い、13年から町内の高台21地点に建てた。
今回は発案者の一人、伊藤唯さん(26)=横浜市=と共に取り組んだ教諭の阿部一彦さん(58)=現・石巻市立北上中校長=が来高。約220人を前に伊藤さんは「机の脚を持っていないと耐えられない揺れで、訳が分からなかった」「朝起きて『夢ではなかった』と気付く生活だった」と当時の体験を紹介。生徒から「生きているうちにやりたいことは?」と質問されると「震災後、小さな後悔が積み重なった。だからやりたいことは全部やります」と宣言した。
阿部さんは「目的は石碑を建てるのではなく、絆をつくることだ」と説明。「隣の人にできることを何かやってと種をまきに来た。行動を起こすには勇気が必要だが、ぜひ一歩踏み出して」と呼びかけた。
伊野中3年の岡田あんじさん(14)は「生きていることの大切さを実感した。絆を深められるよう、地域で交流できる場をつくりたい」と話していた。(藤枝武志)



















