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2022.09.22 08:20

【全文公開】3日目からがうまい 土佐湾のキハダ 上杉一臣―魚信 はっぴぃ魚ッチ

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丸々太った魚体に大満足

丸々太った魚体に大満足

 土佐沖のキハダに魅せられて、もう10年以上になる。

 数十キロの巨体が疾走し、その強烈なパワーを全身で受け止める。ダイナミックさに加え、魅力は食味の良さにも及ぶ。

 自ら釣って食べてみるまで、キハダにあまりおいしいイメージはなかった。食べたものは大半が冷凍で、あっさりした味わい。ところが適切に処理した生のキハダの味を知ると、これはたまらない。

 釣ってすぐに船上でエラと内臓を抜く。マグロ用に構えた1・5メートルのワイヤで神経締めをして、しっかり氷で冷やす。鮮度維持には迅速な処理が必要だ。

 水温が30度に上る真夏には、キハダは脂がほとんどない傾向にある。が、実は個体差が大きい。中にはたくさん餌を食べ、丸々と太ったのが釣れることがある。そんな魚には処理にも力が入る。

 家に持ち帰ってからも大変だ。20キロや60キロという大きさは、さすがに1人では手に負えない。昔、魚屋でアルバイトしていた母親に協力してもらい、出刃包丁1本で解体する。

 身をブロック状に切り分けたら「グリーンパーチ」という熟成用の紙で包む。次に、ナイロン袋に入れて空気を抜き、密封して冷蔵庫に入れたらオッケーだ。

弾力があり味わい深いキハダマグロ

弾力があり味わい深いキハダマグロ

 熟成中は、1日1回は必ず紙を交換し、変色した部分があれば削ぎ落とす。そして再び密封して冷蔵庫へ。これを2、3日繰り返すうち、余分な水分が抜けてうま味が増す。

 日に日に変化する色つやや水分量を見ながら、食べ頃を見極める。熟成したキハダは刺し身はもちろん、ステーキなどで火を通してもおいしい。私の経験上、キハダは3日目からがうまい。神経締めが効いた身は弾力があり、味わい深いのだ。

 釣る楽しみに、食す楽しみ。地ものの魚のうまさに誇りを感じ、釣りと魚を楽しむこだわりは、とどまることを知らない。(大東冷蔵・水産事業部勤務=高知市瀬戸東町)

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