2021.06.10 08:20
【全文公開】滝のように流れる脂 希少魚サツキマス料理 松浦鮎人―魚信 はっぴぃ魚ッチ

丸々と太ったサツキマス
私は「キャッチ&イート」派だ。釣れた魚は基本的に持ち帰って、おいしく食べたい。血抜きと神経締めを施し、冷蔵庫で数日寝かせてほどよく熟成させてからいただくようにしている。
特に、限られた時季にしか味わえないサツキマスは絶品。姿の美しさもさることながら、味も素晴らしいものがある。
希少なサツキマスは、毎年釣れる保証はない。5月初旬、今年は幸運にも42センチ、1・2キロというナイスコンディションの1匹を釣り上げることができた。ネットに収めた瞬間、安堵(あんど)しつつも、盛り上がった背中とよく肥えてはち切れそうな魚体に思わずゴクリ。さあ、どうやっていただこうか―。
私は管理栄養士の資格を持っている。凝った料理はできないが、それなりの一皿に仕上げたい。

鮮やかなオレンジの刺し身

私の一押し。サツキマスの「西京焼き」
これが大ハマり!
サケ科の魚なので味噌との相性は抜群。焼いている最中も、滝のように流れ落ちる脂に食欲をそそられる。表面の皮はパリっと、中の身は箸で触れれば崩れるほど柔らか。口に入れれば味噌の香りと、とろけるような食感が広がる。
骨や頭などのあらも、捨てるなんてとんでもない!
これも味噌仕立てのあら汁や唐揚げにすれば至極の一品となる。骨の柔らかいサケ科の魚は、内臓以外全て食べることができるのだ。
他にも、カルパッチョや洋風ソテー、にぎりずし…。どんな料理もおいしいので、レパートリーを増やそうとあれこれ考えるのがまた楽しい。
ところが、この1匹を釣って以降はボウズの日々が続いている。魚を掛けても、「またうまそうな、肥えたやつ…」なんて考えていると、魚に伝わってしまうのか、針がポロリと外れるのだ。
食欲はそっと隠し、謙虚な気持ちで残り少ないシーズンを楽しもう。(香美森林組合職員)

松浦鮎人




















