2019.10.24 08:21
【全文公開】オヤビッチャで島ランチ 鵜来島釣行記、実食編―魚信 はっぴぃ魚ッチ
波風が強まってきた昼前に帰港すると、西内さんが言った。「スペシャルランチにしますか?」
クーラーボックスは連発したアカハタなどで満杯。“釣りだち”だから当然、スペシャルでは? そう思いきや、西内さんは倉庫から竿(さお)と冷凍オキアミを取り出すと、筆者を連れて岸壁を歩き始めた。
足元に熱帯魚のような魚が泳いでいる。
「よし、いるいる。釣ってください。できるだけ大きいのを。おいしいんですよ、オヤビッチャ」

美しい色をしたオヤビッチャ
え? オヤビッチャ? 即リリースされる餌取りの定番、外道じゃないか。わざわざ鵜来島まで来て釣らんでも…。
渡された仕掛けはシンプルなガン玉重りと針のみ。ぽちゃっと落とすと、いろんな魚が寄ってくる。「ツンツン、ツツン」であっさり餌が無くなった。
意外に難しい? 楽しいぞ!
掛けるにはこつがあった。まずオキアミを細かくつぶし、岸壁の際にまいて他の小魚を寄せておく。その向こうに、オキアミの下半身だけ刺した針をゆらゆら落とすのだ。
鵜来島のオヤビッチャは大きく、分厚い。ぎゅんと竿を絞り込むので、親子に人気の体験だそうだ。
半時間後、「うぐるBOX」のテーブルにオヤビッチャの姿揚げが並んだ。釣った岸壁からたったの200メートル。フードマイレージが極小の島ランチだ。

鵜来島産オヤビッチャを豪快に姿揚げ
塩の効いた揚げたてはカリカリ、癖のない白身はホクホク。尾びれだって香ばしい。
船の水槽で生かしておいた大きなサバは刺し身、アカハタは焼き切りにして、冷たいそうめんをご飯代わりにいただく。ぐりぐり、もちもちの食感。筆者とカメラマンKは夢中で平らげた。

奥からオヤビッチャ姿揚げ、アカハタ焼き切り、サバの刺し身。船釣り後の体にしみた
前夜に供された「バラハタの南蛮」も箸が止まらぬおいしさだった。西内さんの料理はどれもシンプルだが、「冷たいものは冷たく食べる」「食べ時を逃さない」という強いこだわりがある。
「うぐるBOX」に鍵はない。食事はあるじと客が一緒に準備する。ゆったりした島の生活にちょいとお邪魔し、居候する―。そんな感覚。だからこそ、「釣り、食らう」が純粋に味わえた1泊2日だった。(本紙・ハチ)




















