2026.03.21 05:00
【日米首脳会談】停戦して沈静化を探れ

高市早苗首相はトランプ米大統領と会談した。トランプ氏は事実上封鎖されたエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡を巡り、航行の安全確保に対する日本の貢献を求めた。
トランプ氏はこれまでも、日本などを名指しして艦船の派遣を求めてきた。しかし、各国の支持は広がらず、支援要求は取り下げた。欧州への不満から、ウクライナ支援に後ろ向きな姿勢を示している。
会談でも、北大西洋条約機構(NATO)は非協力的だと批判した。一方で、日本は「NATOとは違う」と評価した。発言をたびたび変えるトランプ氏の真意はつかみにくいが、日本を取り込み、欧州への圧力とする狙いが見て取れる。
日本の艦船派遣には法律の制約がある。首相は法律の範囲内でできることをするとの考えを伝えた。航行の安全確保には戦闘の終結が前提で、それへの道筋を示すことが重要となる。米国とイスラエルの先制攻撃から応酬に発展した。周辺国を攻撃するイランを非難するだけでは十分ではない。
イラン攻撃は、出口戦略が描かれないまま始められたとの見方が出ている。イランがホルムズ海峡の事実上の封鎖に踏み込むとも想定していなかったとされる。長期化への警戒感が拭えない。
首相は中東情勢の緊迫化に触れた上で、世界中に平和と繁栄をもたらせるのはトランプ氏だけだと述べている。随分の持ち上げようだ。日本への要求が強まることが警戒されただけに、自尊心をくすぐって軟化を誘おうとする思惑がにじむ。
もっとも、事態の沈静化を急ぐ必要があることは間違いない。そこではトランプ氏の意向が鍵を握るのは明らかではある。
今回の首相訪米は、トランプ氏の3月末からの訪中計画が背景にあった。11月の中間選挙をにらみ、トランプ氏は中国から米国農産物の輸入拡大を取り付け、支持率の回復を図ろうとしていると指摘された。その際に台湾問題で何らかの譲歩をするのではないかと警戒された。
日米首脳は、台湾と中国に関する諸課題について緊密な連携を確認した。日米間で対中政策の認識の擦り合わせをする狙いはひとまず達成できたようだ。
訪中の延期で会談の中心議題はイラン情勢となった。日本に難題を突きつける事態は回避できたが、情勢次第で態度は変わりかねない。
トランプ氏から防衛費の増額要求はなかったという。だが、増額要求は根強い。高市政権は国内総生産(GDP)比2%超への積み増しを描く。国民への説明と理解が不可欠だ。数の力で国会議論を軽視することがあってはならない。
米国の国際的な影響力が低下する中、日本は自律した外交を展開する必要がある。多面的な取り組みが求められる。























