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2026.02.06 05:00

小社会 冷蔵庫の味玉

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 ラーメンの上で琥珀(こはく)色に輝く味玉は、朝食でも弁当でも活躍してくれる万能選手だ。近年は卵の値段も上がったが、それでも1個30円前後。豆腐やもやしなどとともに優等生として台所を支えてくれる。

 味玉づくりにタイマーは欠かせない。半熟にゆでて殻をむき、しょうゆやみりんの調味液に沈める。冷蔵庫の中の時間に身を委ねれば、つるりとした白身から変化が始まる。外側の濃い調味液と卵内部の濃度差でうまみが白身へ伝わり、水分は外側へ。浸透圧が働き、うまみの波がとろりとした黄身に深く届く。

 失敗もある。せっかちに濃い液に沈めれば表面だけ真っ黒。薄めすぎれば2日漬けても味がぼけている。忙しさで3日置き、黄身が締まりすぎたことも。濃度や時間を間違えれば、浸透圧は正直だ。

 時間といえば、今回の衆院選は解散から投票日までが戦後最も短い。防衛力の抜本強化など国論を二分する政策こそ十分にしみ込む説明がほしいのに、終盤になっても具体策が語られない。成分表示のない調味液に、卵の身で漬かっているような心もとなさを覚える。

 殻が割れるような強い火力だけの言説には距離を取りたいし、甘さだけの調味液にも慎重になりたい。冷蔵庫の静けさのような思考の余白を確保しなければ。

 インターネット社会は朝の台所のように忙しい。情報があふれ、次々と話題が変わる中でも、何とか味を染み込ませて投票日を迎えたい。

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