2026.02.03 08:20
趣味の世界広げるツール 野根診療所院長・仁木伸二さん(75)東洋町―私と高知新聞

「キス釣りは今も続けています」と話す仁木伸二さん(東洋町野根)
1987年3月26日付の本紙「釣り」のコーナーに登場し、始めたばかりのキス釣りの醍醐味(だいごみ)を熱弁している。あれから38年。今も野根川や近くの海で、春はアメゴ、夏はアユ、冬はグレを釣る。
45年前、知人の医師の紹介で「野根に診療所がなくなる」と聞き、徳島県から東洋町野根に移り住み、野根診療所を引き継いだ。それまでは徳島大学の大学病院で内科医として勤務。高知にゆかりはなかった。
野根の浜辺で一人、釣りをしていると、地元の釣り人たちと自然に打ち解けた。地元の釣りクラブにも所属。野根での暮らしは人生の半分をとうに超えた。
一日はポストに新聞を取りに行くことから始まる。新聞は本紙ともう1紙全国紙を購読。朝食を取りながら目を通すのが日課だ。
楽しみは毎週木曜掲載の「魚信」。「魚の情報だけで一面埋まるんだから、高知は釣りパラダイスですよ」。各地で釣れる魚種の変化で季節を感じ、釣り人たちの体験談に共感する。
漫画「釣りバカ日誌」の初代担当編集者、黒笹慈幾(やすし)さんとも50年来の親交があり、「釣りバカ黒ちゃんのろいろい釣り散歩」で近況を確認。おいしそうな魚料理が紹介された記事は、仲間と情報共有する。新聞は趣味に浸り、その世界を広げるツールだ。
野根地区の医療機関は移住当初から野根診療所だけ。今では受け持つ約200人ほどの患者は「家族のような存在」だ。赴任当初は新聞記事が会話のきっかけになった。
「休刊日でもポストを開けてしまうほど、新聞は水や空気みたいなもの。これからも面白い記事が読みたいな」。おだやかに目を細めた。(人見彩織)























