2026.01.13 05:00
小社会 ピース80年

当時は愛煙家が多く、人気は絶大だったようだ。小学館の「昭和たばこ図鑑」に「発売日にはたばこ店に大行列ができた」とあり、東京で列の終わりが見えないほど人が並んだ写真が載っている。
県内では少し遅れて3月に販売を開始。その前には、いつ、どこで、どれだけ買えるかなどが本紙で頻繁に報じられた。禁煙が進んだ現代からは隔世の感があるが、当時いかに注目されていたかが分かる。
作家の故土佐文雄さんも「とりこになった」1人だった。味だけでなく、意匠の「デザインが優れていた」と本紙での連載に記している。紫紺の地に、オリーブの枝をくわえたハトの絵。たばこの煙が苦手な筆者は味は知る由もないが、図案は確かに印象的で、幼少期から覚えがある。
ハトもオリーブも平和のシンボルで、52年にデザインが一新され採用されたという。商品名に加えて意匠にも平和の尊さが込められた。悲劇の戦争が終わったのに朝鮮戦争や冷戦が勃発した時代を物語る。
ことしは戦争の放棄を掲げる日本国憲法の公布80年でもある。祖先がたばこにまで託した願い。いまの世界情勢に思う。暮らしの煙だけにとどめなければと。




















