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2025.12.21 05:00

小社会 南海地震79年

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 いま県内で一戸建て住宅を注文すると、坪単価はどれくらいするのだろうか。国土交通省が毎月、着工した新築の平均工事費予定額を都道府県ごとに公表している。調べて目が点になった。直近の高知は89・1万円。

 10年前の1・5倍になっている。折しも一昨日、日銀が政策金利の引き上げを決めた。この先、住宅ローンの金利が上がれば、マイホーム獲得のハードルはさらに高くなりそうだ。

 工事費増加は全国的な傾向で、資材高騰に加え、工賃のアップもある。国交省によると、大工さんの数は過去20年で半減し、建設業全体の中でも特に高齢化が進んでいるという。

 マイホームを望んでも建てられないという事態が近い将来、現実になるかもしれない。いや、既に起きている。9月に訪れた石川県能登地方。間もなく震災発生から2年になる。

 町には損壊家屋を撤去した後、再建のめどが立たない宅地が目立つ。「坪単価が百数十万円する上に工事の担い手が足りず、もし発注しても完成はずいぶん先になる」。そんな悲痛な声を現地で何度も聞いた。再建を諦めて、生まれ育った土地を離れる住民もいる。

 震災後の地方の厳しさを再認識させられた。高知も次の南海トラフ地震対策には課題が多いが、時間がまだ多少残されていると信じて、しっかり向き合いたい。住宅再建も事前の耐震化が進めば状況が変わるのでは。昭和南海地震はきょうで発生から79年。

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