2025.11.28 13:52
【全文公開】『釣りという幸せ 高知のアングラー・リレーエッセー』(1) タックルボックス 釣行は深夜始まる 松岡浩司(BAR「深夜プラス1」店主=高知市帯屋町)
100円ショップにネジを買いに行きました。額縁を掛けるために必要でした。ネジは手のひらサイズのプラスチックケースに収められています。このプラスチックケース、大小のネジが四つの部屋に仕切られているのですが……。
さて、釣行には竿(さお)やリール以外に針やオモリなど細々(こまごま)とした備品を入れて携帯する道具箱、タックルボックスが必要不可欠です。タックルとは釣り用語で道具全般のこと。多種多様のタックルボックスは釣りの種類や環境に応じてチョイスしますが、ここに釣り人のセンスが問われます。

古いマッチ箱に書かれた釣りの格言
釣り場にはできるだけ軽装備で向かいたいもの。なぜなら帰りには大量(大漁)の魚という手荷物が増える予定ですから。釣り人なら誰しもが大漁を期待し、前夜から準備に取り掛かりますが、もう既にこの時点で釣りは始まっているのです。
自然という環境に何時間も身を預けて魚と対峙(たいじ)する。そんな広範にわたる釣りの中でも、ハードな釣りのひとつに位置付けられるのが渓流釣りでしょう。
入渓してからの道中は川を遡上しながら腰まで水に漬かり、大岩を登り、蜘蛛(くも)の巣を払い、薮(やぶ)こぎをしながら道なき道を釣り上がって行くのです。
釣り+シャワークライミング(沢登り)。
このような過酷な釣行でのタックルボックスの代わりを果たすのがフィッシングベスト。私のベストには大小計19個のポケットがあります。手返しが良くストレスのない釣行は、この19個のポケットをいかに活用するかです。
ところで冒頭のネジのプラスチックケース。針や小物の収納にうってつけで、ベストのポケットにもジャストサイズでした。そうしたわけで急きょネジを追加購入。そして夜な夜なウイスキーを舐(な)めながら、針やオモリをプラスチックケースへと仕分けするのです。酔いの幻聴でしょうか、渓流のせせらぎが聴こえてきたような……。
昔はカメラのフィルムケース、今は100円ショップのネジケース。身の回りには、まだまだ沢山のタックルボックスが潜在していそうです。
高知市帯屋町のバー「深夜プラス1」のマスター、松岡浩司さんのエッセーから、魚信編集部がお気に入りの作品をチョイス。カウンター越しの釣り談義と、ちょっとマニアな釣行が交錯する「いい話」を、バーボン片手にお楽しみください。






















