2025.11.28 13:02
【全文公開】『釣りという幸せ 高知のアングラー・リレーエッセー』(149) 消波ブロック 穴師とガシラ。そしてギンポ 松岡浩司(BAR「深夜プラス1」店主=高知市帯屋町)
「俺、穴師になるわ!」
あな、し…?
突然の弟の宣言に慄(おのの)きました。
私の頭をよぎった穴師とは、便所のくみ取り口から忍び入る窃盗犯のこと。
しかし、すぐに誤解は解けました。
どうやら弟の発言は「穴釣り師」の略だったようです。くれぐれも略語には気をつけるよう注意を喚起した後、穴釣り談議に花が咲きました。
「穴釣り」とは、組まれた消波ブロックなどの穴(隙間)に仕掛けを投入して、底に潜んでいる魚を釣ることです。
ちなみに、ワカサギ釣りにも穴釣りが存在しますが、これは別物。凍った湖沼の氷面にあけた穴から釣り糸を垂らす釣り方です。
さて、わが弟が突如宣言した穴釣り。初心者でも手軽に楽しめる釣りのひとつですが、危険も伴います。
消波ブロックには、滑るブロックと滑らないブロックがあります。
見誤り滑落すれば命にも関わりますし、潮位や波の高さなど、常に周りの状況に気を配らなくてはなりません。
しかし、安全を確保しての穴釣りは本当に楽しく、さまざまな魚種との出合いが期待できます。
穴釣りデビューする弟に、オススメの釣り場を尋ねられましたが、不慣れな者には前述の危険があり、どうしても気掛かりです。
壮年期も後半に差し掛かる弟に「お兄ちゃんについてきなさい!」。
ということで、はてさて何年ぶりの弟との釣行でしょうか。妙に心が躍ります。
さて、高知の穴釣りといえば、定番ターゲットはガシラです。

弟が穴から釣り上げたガシラ。餌は生鶏皮
簡単に釣れる割には、唐揚げや煮付け、大物は刺し身にと、なかなかグルメな魚なのです。
そんなガシラをコンスタントに釣り上げ、歓喜する弟を尻目に、お兄ちゃんは別のターゲットに苦戦を強いられておりました。
「ギンポ」という魚をご存じでしょうか?
漢字では「銀宝」と書きます。
「天ぷらになるために生まれてきた魚」
「銀宝を食べずして天ぷらを語るなかれ」
「江戸っ子たるもの、借金してでも春は銀宝を喰(く)え」
ここまで形容される魚が、実は高知の穴釣りでも狙えるのです。
ところが、お味とは裏腹に長くヌメヌメとキモチワルイ風体は「触ってはいけない魚」然とし、私の周りでは釣り人も含め、食べた人はいないのです。
この日から…。
ギンポを求め穴探りに没頭する日々は続いているのです。
高知市帯屋町のバー「深夜プラス1」のマスター、松岡浩司さんのエッセーから、魚信編集部がお気に入りの作品をチョイス。カウンター越しの釣り談義と、ちょっとマニアな釣行が交錯する「いい話」を、バーボン片手にお楽しみください。






















