「急行『北極号』」

2025.12.12 05:00

「急行『北極号』」

高知新聞社

サンタを信(しん)じる少年(しょうねん)のきせき

　クリスマス・イブの夜(よ中なか、ぼくはサンタのそりのすずの音(ね)が鳴(な)りひびくのをじっと待(ま)っていた。夜(よる)もふけて、物音(ものおと)が聞(き)こえてきたけど、それは「しゅうっ」という蒸気(じょうき)の音(おと)と、金属(きんぞく)が「きいいっ」ときしむ音(おと)だった。

　窓(まど)の外(そと)を見(み)ると、なんとうちの前(まえ)に汽車(きしゃ)がぴたりととまっていた。その名(な)は、急行(きゅうこう)「北極(ほっきょく)号(ごう)」。白(しろ)い蒸気(じょうき)につつまれたその不思議(ふしぎ)な汽車(きしゃ)に乗(の)りこむと、げん想(そう)的(てき)な旅(たび)が始(はじ)まった･･･。

　大人(おとな)になって出合(であ)ったこの作品(さくひん)は、読(よ)むたびに情景(じょうけい)がはっきりとうかんでくる大好(だいす)きな１冊(さつ)です。　私(わたし)のおすすめは、声(こえ)に出(だ)して読(よ)むことです。つむぎ出(だ)される言葉(ことば)のおく深(ふか)さと豊(ゆた)かさ、げん想(そう)的(てき)な絵(え)をじっくりと楽(たの)しむことができます。

　もし文字(もじ)が多(おお)いなあと感(かん)じたら、だれかに読(よ)んでもらってください。せがまれた人(ひと)もきっと、サンタが来(く)るのを楽(たの)しみにしていたころを思(おも)い出(だ)して、いっしょに幸(しあわ)せなひと時(とき)を過(す)ごすことができるでしょう。（ＮＰＯ(エヌピーオー)法人(ほうじん) 高知(こうち)こどもの図書館(としょかん)　宮田(みやた) あづさ）
　
　「急行『北極号』」
クリス・ヴァン・オールズバーグ／絵(え)と文(ぶん)　村上春(むらかみはる)樹(き)／訳(やく)　あすなろ書房(しょぼう)　　　
☆おすすめ･･･小学(しょうがく)低学年(ていがくねん)以上
(いじょう)

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