2025.11.13 05:00
【立花党首逮捕】虚偽情報の危うさ共有を

中傷された元県議の竹内英明氏は今年1月に亡くなった。自殺とみられている。言葉の暴力が交流サイト(SNS)を通じて増幅し、悲劇を招いた。インターネット社会のもとでの深刻な人権侵害だったといえる。社会全体で危うさと課題を共有する必要がある。
一連の誹謗(ひぼう)中傷は、兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑問題と、それを受けて行われた昨年11月の出直し知事選に絡んで発信された。
立花容疑者は、斎藤氏を応援するためにいわゆる「2馬力」で知事選に立候補。県議会で疑惑を追及していた竹内氏を「(問題の)黒幕」と名指しするなど批判を繰り返し、竹内氏にはSNSによる中傷投稿が多数続いていたとされる。
逮捕容疑は、昨年12月に「(竹内氏が)警察の取り調べを受けている」と街頭演説で述べたほか、死亡後に「竹内氏は逮捕される予定だった」と虚偽の発信をした疑い。立花容疑者は発言した事実自体は認めているが、その内容が虚偽だとの認識はなかったとして違法性を否定しているようだ。
司法の判断はこれからだが、道義的、人道的に大きな問題があり、結果責任も重いことは揺るがない。死者への名誉毀損容疑での逮捕、立件は異例とされる。県警は今回はそれだけ社会的影響が大きく、悪質性が高いと判断したのだろう。
立花容疑者はほかにも、SNSを意識した過激な言動と他者への攻撃で注目を集めてきた。
言論の自由、表現の自由は当然、尊重されなければならないが、事実無根の情報で他者の人権を侵害することは許容できない。その舞台が民主主義の根幹をなす選挙であればなおさらだ。兵庫県知事選では、一部の有権者がSNSにあふれた真偽不明の情報を信じて投票したことも確認されている。
情報を行き渡らせる上で有効なSNSだが、いびつな側面にあらためて目を向ける必要がある。
一つは、閲覧数の多さが発信者の経済的な利益に結びつくため、虚偽情報やデマを含め、極端な内容になりがちなことだ。
広まったデマを打ち消すことも容易でない。自分に都合のよい情報ばかりに触れる「フィルターバブル」「エコーチェンバー」などの状態になると、偽情報を事実と思い込む原因となり、ネット社会の匿名性に乗じて、それらは拡散されやすい。
竹内氏の場合も、県警が立花発言を明確に否定しても批判が収まらなかった。告訴した竹内氏の妻は「同じような犠牲が二度と生まれないように」と訴える。
虚偽情報の発信者だけでなく、拡散した人も刑事や民事上の責任を問われる可能性がある。今回の逮捕から考えるべきことは多い。選挙での偽情報対策も急ぐ必要がある。





















