2025.10.24 08:55
俳優の父ちゃん母ちゃん 居酒屋店主 河原崎真大さん(東京都出身)―時代の旅人 あの人に聞く(30)
古びた木造2階建ての居酒屋「にこみちゃん」は高知市南はりまや町の鏡川そばにある。夕方の開店を前に店主の河原崎真大(まさひろ)さん(54)が、仕込みを続けながら、一枚の写真を見せてくれた。

お客さんからもらった約35年前の父、河原崎長一郎さんの写真を前に、笑顔の真大さん(高知市の「にこみちゃん」)
「つい先日、初めてのお客さんが、昔撮ったというこの写真をくれたんです。息子の僕が高知で店をやっていると知って、わざわざ持ってきてくれたみたい」
額縁の中で、約35年前の父、長一郎さん(故人)がほほ笑んでいる。「こんなにこやかな顔は、僕もあまり見たことがない」と言う。
長一郎さんは、1960年代から映画やテレビで活躍した俳優だった。「私が棄てた女」(69年、浦山桐郎監督)や「やさしいにっぽん人」(71年、東陽一監督)などの主役作品をはじめ、味のある演技で脇役をこなし、多くの監督から重宝された。大河ドラマやホームコメディーなど、出演作は数え切れない。
長一郎さんを中心に家族や親族を見渡せば、弟の次郎さん、建三さんが俳優。いとこに岩下志麻さんがいて、父は歌舞伎の前進座を創立した四代目河原崎長十郎さん、母のしづ江さんもその創立に参加した戦前からの役者だった。そして長一郎さんの妻、伊藤栄子さんもテレビドラマ「姿三四郎」(63年)でデビューし演技の世界で生きてきた。まさに俳優一族と言える。

赤ちゃんの河原崎真大さんを抱く父の長一郎さん、母の伊藤栄子さん=左、祖母の河原崎しづ江さん(東京・吉祥寺の祖父母宅)
「自由でした。強制されるようなことは、何もなかった」と振り返る。
真大さんは5歳ぐらいの時、テレビを指して「この箱の中に父ちゃんがいる!」と言っていたらしい。父親たちが芸能の世界にいることをいつ頃から、どんなふうに感じ取り、認識を深めていったのだろうか。
「そうだなあ…。同じ頃、歌手の尾藤イサオさんちに行ったことがあって。一つか二つ年上のお姉ちゃんが、…























