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2025.09.26 08:45

人口減対策、ビジョン必要 農業担い手不足進む 佐川町長、町議ダブル選9/30告示、10/5投開票―佐川町の課題(上)

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昨年末に開かれた佐川中学校の同窓会。町が人口減少対策の一環で会費の一部を負担した(佐川町甲)

昨年末に開かれた佐川中学校の同窓会。町が人口減少対策の一環で会費の一部を負担した(佐川町甲)

 任期満了に伴う高知県佐川町の町長選と町議選が9月30日に告示(10月5日投開票)される。同町の人口は8月末時点で1万1597人。県内町村で3番目、高吾北地域では最大の規模だが、この10年で約2千人減少している。人口減少対策の現状や町のにぎわいづくりの課題を探った。

 町の「第2期創生総合戦略」によると、2040年の町人口は国立社会保障・人口問題研究所の推計で約8800人。若い世代の結婚や子育ての希望をかなえ、人口流出を抑制し、移住・定住を促進することで、1万人台を維持する「展望」を描くが…。

■同窓会に謝礼金
 昨年12月末、町内の居酒屋で開かれた佐川中学校の同窓会。久しぶりの再会で盛り上がる20~30代の若者たちを前に、片岡雄司町長が乾杯のあいさつをした。

 「毎年(人口が)200人減り、大変厳しい状況。若い人に住んでもらえると町も元気になる」

 町はこの日、2カ所で開かれた同窓会に「企画謝礼金」として、1人3千円の参加費を負担していた。参加した計約60人のうち40人以上が町外。事業の狙いは、若者のUターン促進や出会いの場の創出だ。片岡町長は町の子育て支援策もしっかりアピールした。

 スーパーや家電量販店、病院、高校、JRなどがそろう同町は、仁淀川上流域から高知市や県外への流出を押しとどめる「人口のダム」とも言われてきた。移住の取り組みもあって、社会減の減少幅はほぼ横ばい。転出者の増加を越知町や仁淀川町などからの転入者でカバーしてきた側面がある。

 しかし、近年は流域全体の自然減の影響が大きく、「ダム」機能は陰りを見せている。町勢の浮揚・維持の鍵を握るのは、出生数増につながる若者の定住促進策だ。

 町の昨年度の転出者は370人。このうち、15~29歳は189人に上り、過半数を占める。進学や就職を機に町外へ出る若者が多く、中でも20代前半の女性の減少幅が大きいという。

 給食費や医療費の無償化の実施・拡大、子育て世帯の住宅新築奨励金…。町はここ数年、人口減少対策として、子育てを応援する受け皿整備に力を入れてきた。

 しかし、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率は近年、1・2~1・4で推移。25年の目標1・7には届かない見込みで、取り組みが出生数増につながっていない現状がある。

 町の「総合戦略」は「引き続き出会いから結婚・出産・子育てに至る段階ごとの施策充実」を提示するが、担当者は「若者の結婚への価値観が変わり、どこの市町村でも同じようなことをしている。成果が出づらい」とこぼす。

■「農機が壊れて…」
 同町の高齢化率は8月末現在で41・7%。現役世代の減少は経済の縮みを招き、雇用を求める若者の流出に拍車をかける。負の連鎖を生む担い手不足は、町の基幹産業である農業の現場で顕著になっている。

 20年農林業センサスによると、町の基幹的農業従事者は610人で20年前と比べると、336人減。高齢化率は実に7割を超える。県によると、20年から5年間の新規就農者は計18人にとどまり、離農者増に追い付いていない。

 「20年後には、佐川のほとんどの農家が姿を消すがやないか」

 黒岩地区でコメやショウガづくりに励む70代男性は、周囲の農家から「農機が壊れて更新できん。もう農業はできん」といった嘆きを聞くという。

 高齢を理由に離農するなどした約15軒分の田畑を任されている。自身の田んぼも含めて約2ヘクタール。5年前にUターンした次男と妻の3人で管理するが、「収入が不安定。息子に別の道を勧めたほうがいいのではという葛藤がある」と話す。

 町内では、農地を大区画化し、農道や用排水路を整えたほ場の整備率は31%で、県平均の55%を下回る。参入を促す環境の底上げも進めなければならない。

 現在、第6次総合計画を策定中の同町。佐川の強みは何か、魅力をどう磨き上げ、発信し、人を呼び込むか。人口減少対策や産業振興の取り組み強化が求められる局面で、新たなビジョンを打ち出す必要がある。(佐川支局・乙井康弘)

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