2025.09.21 08:51
【調査報告書・要旨】「できるかできないかを決めるのは俺だ」高知ユナイテッド、監督パワハラの中身公表「許される範囲を逸脱」

「ハラスメント事案に関する調査報告書」について説明する高知ユナイテッドの山本志穂美社長(県庁記者室)
【ハラスメントの定義】
「優越的な関係を背景とした言動」であって「チーム運営上必要かつ相当な範囲を超えたもの」により「チーム関係者のプレー環境または就業環境が害されるもの」で、この3要素を全て満たすもの。
【認定】
①選手を病院に行かせるようにとのスタッフ提案を否定する発言をしたことがあった。
②選手がトレーニングメニューに参加しなかったことについてミーティングで「お前らの足が痛くてもけがをしていてもできるかできないかを決めるのは俺だ。トレーナーに許可をもらっても俺は許可を出していない。休みたきゃ俺に言ってこい」「お前がしたことは監督批判」「チームに対しての裏切り行為」などの趣旨の発言をした。
③別のサッカークラブへの移籍を勧められていた選手に対し、「お前はここの強度に合っていないから早く移籍をしろ」「どうせ残っていても試合出られないのだから移籍しろよ」という趣旨の発言をした。
④前日にある選手が足の痛みを訴えていたが、プレーできる可能性があると判断し練習試合に帯同させ、選手は試合に出場。その後の全体ミーティングで当該選手を名指しし「うそをついている」「チームから排除されていく」という趣旨の発言をした。
⑤練習時にあるスタッフに対して「つまらないウオーミングアップするなよ」「お前のアップはつまらないからな」という趣旨の発言をした。
【評価】
例えば②は選手の人格や尊厳を傷つけ、発言内容も指導の際に使われる文言として許される範囲を逸脱している。④は、直接足の状態や言い分を聞くことなく試合出場を強いることは過大な要求で、選手生活を脅かすけがにつながる可能性があるほか侮辱的要素を含む。また、足が痛いと訴えても、その状況を十分に確認されることもなく試合出場を強いられるという状況だけとっても、選手の健全なプレー環境を侵害すると言わざるを得ない。
【原因】
激しい競争にさらされるプロスポーツで時には厳しい指導が必要となることも否定できない。しかし、「厳しい指導」と「パワーハラスメントに該当する指導」を適切に区別することは極めて重要。スポーツ界におけるインテグリティ(誠実さ、真摯=しんし=さ)の確保の重要性やハラスメント防止に関する認識、理解不足が主たる原因とみることができる。
また、秋田氏はクラブ内のことは自身の判断で決めるとの方針をとり、その徹底を求めていた。スタッフが秋田氏に積極的に意見を述べることが難しい状況だったことがうかがえる。コミュニケーションが一方的になっていたことも一連のパワハラにつながった一因と指摘せざるを得ない。
【組織的な問題点】
本来であれば、秋田氏の発言や行動に不快感を抱いた選手やスタッフが、秋田氏との間に入って調整し、組織内で解決を図る体制を構築しておくべきであったが、選手やスタッフの相談先としてそのような役割を本来担うべき存在があったにもかかわらず機能していなかった。
また、監督にのみに権限が集中し、選手やスタッフからは、秋田氏から圧を感じ、自由に意見を言える環境になかったとの指摘もあった。何も意見を述べることができない環境は不健全と評価せざるを得ない。



















