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2025.08.31 05:00

【フレイル予防】支え合う地域づくりを

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 加齢で心身が衰える「フレイル(虚弱)」の予防に取り組む活動が県内で広がっている。
 医療の進歩により日本人の平均寿命は延びたが、自立して日常生活を送ることができる健康寿命とは10年前後の開きがある。この期間は寝たきりや介護が必要になるため、できるだけ縮めることが課題となる。要介護に陥らないよう、フレイルの予防にいっそう力を入れたい。
 フレイルは、加齢に伴って筋力や認知機能が低下し、要介護の一歩手前にある状態を指す。体重の減少や疲労感、筋力や歩行速度の低下といった状態が三つ以上見られると該当するといわれる。
 高齢者はフレイルに陥りやすく、この段階を経て要介護状態へ進むケースが多い。だが、早期に適切な予防策を取ることで改善する可能性がある。国も2020年度から75歳以上を対象にフレイル健診を始めた。
 専門家によると、対策の柱は「食事」「運動」「社会参加」の三つで、全てをバランスよく底上げしていくことが求められる。ただ、個人で取り組むのはハードルが高く、効果を上げるのは難しい。
 鍵を握るのは住民同士の支え合いだ。1人の食事より大勢で食べる方が食は進み、低栄養を防げる。運動も仲間と行う方が長続きする。
 フレイル予防の先進地と呼ばれる仁淀川町では、住民が主体となった取り組みが進む。
 問診や検査を担う住民サポーターを養成し、19年からチェック事業を行う。フレイルが疑われる場合は保健師の健康指導につなげる。21年からは専門家の指導の下、ストレッチや筋トレ、器具も活用した予防運動「ハツラッツ」も実践する。
 仲間同士で励まし合いながら取り組みを続けることで、姿勢や食事などの意識が変わるという。住民自らがNPO法人を立ち上げ、活動の普及を図っている。
 ここまで住民中心で進んだ事例は全国でも珍しいといわれる。支え合いが介護予防や地域の活力につながることを示したと言えるだろう。地域の衰退に悩む多くの自治体にとって参考になるはずだ。
 住民サポーターは仁淀川町のほか3市町でも養成している。県も「日本一の健康長寿県構想」でフレイル予防の推進を掲げており、25年度はサポーター養成の取り組みに講師を派遣する。
 ただ県内自治体は高齢化と人口減少が進み、サポーターも高齢者が多い。組織的に取り組みを広げていく上では、中長期的な人材育成が欠かせない。県には積極的な後押しが求められる。
 一方で、介護を必要とする状態になっても安心して暮らせる仕組みづくりは重要だ。中でも、住み慣れた場所で暮らし続けるために欠かせない訪問介護は深刻な状況にある。介護事業所の経営難や人手不足で必要なサービスが受けられない「介護難民」が既に生まれている。取り残される人を出さない手だてを早急に講じる必要がある。

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