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2025.07.16 05:00

小社会 ヘボン式

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 幕末から明治にかけ、日本で名をはせた米国人宣教師にジェームス・カーティス・ヘボンがいる。医師でもあり、神奈川宿(現横浜市)に施療所を構え、無償で診療に当たった。

 脱疽(だっそ)に苦しんでいた歌舞伎俳優の下肢切断手術を成功させ、義足で舞台復帰させた逸話も残る。当時俗謡で「ヘボンさまでも草津の湯でも、恋の病は治りゃせぬ」とうたわれたほどだから、各方面から尊敬を集めていたのだろう。

 英語教育などにも熱心に取り組んだようだ。いまの明治学院大につながる塾を開設。1867年には日本初の和英辞典を完成させ、ヘボン式ローマ字を考案した。日本の国際化に大きく貢献したのは間違いない。

 ローマ字は昭和以降、日本語に即した訓令式が採用されてきたが、国の文化審議会が一昨日、英語の発音に近いヘボン式を基本とする表記に改める答申案を決定した。元がよかったということだろうか。功績の大きさを改めて感じる。

 「Do for others」(他者への貢献)。当人が生涯貫いた活動の精神という。まさに日本での33年間を象徴するが、明治学院大の教育理念として継承されており、その後も問われ続けてきた精神だろう。

 いや、いまこそ宗教や国を超えて真剣に考えたい。自国主義に移民排斥、紛争、格差拡大…。世界も日本も未来に不安が募る昨今だ。私たちは他人のために何ができるか―。これも大切なヘボン式である。

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