2025.03.04 08:10
記念日のニュース手元に 町救急ボランティア・明神孝夫さん(75)津野町―私と高知新聞

2年前の大わらじの祭りや、秋祭りの日の新聞を手元に残している。「紙なら一日丸ごと振り返れる」と話す明神孝夫さん(津野町北川)
「それから新聞になるね」。9時ごろにポストから取り出し、冬は日の当たる居間で、夏は花いっぱいの庭先のあずまやで。1面から順にじっくり読む。
地元のニュースは切り取ったり、スマホで撮ったりして記録。天狗高原の雪を高知市の子どもたちへ届ける自らの活動が掲載されると「出ちょったね」と連絡をもらった。記事で見かけた旧知に「ご無沙汰じゃがどうしゆよ」と電話も。つながるきっかけになる。
元消防職員。地元の分署長などを務めて定年退職した。現役時代は、火災や事件事故の記事もスクラップした。「もし管内で起きたらどう対応するか。頭で考えちょくことはできる」。職員にも共有して生かした。
退職後は、町や日本赤十字社の救急ボランティア、防災士として活動。講師も引き受けるため、各地の防災訓練の記事に目を通す。
数年前に始めたのは、地元の宮谷地区に伝わる大わらじの祭りの日など、記念日の新聞を一部丸ごと保管すること。祭りで、地区のみんなと記念写真を撮るようになり思いついた。写真なら、亡くなった懐かしい笑顔にも会えた。「その日にどんな出来事があったかな」。記事につられて、日々の思い出もよみがえる。
妻の利恵さん(76)と過ごす土間には、こちらも新聞で出合った四万十町の鉄工所の薪(まき)ストーブを据えてある。帰り際、「どうかな」とにこにこ、メモ紙を一枚。
「新聞受け 中もみず手を入れて 配達員の心 あたたか」(須崎支局・蒲原明佳)



















