2025年 12月20日(土)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法
読者紹介バナーPC

2025.01.23 08:30

【全文公開】古代土器片に漢字2字か「何不」最古級文章の一部? 南国市で出土、高知県立埋文センター報告

SHARE

「何不」の漢字2文字が刻まれたとみられる土器片(高知県立埋蔵文化財センター提供)

「何不」の漢字2文字が刻まれたとみられる土器片(高知県立埋蔵文化財センター提供)

土器片の実測図(高知県立埋蔵文化財センター提供、文字とみられる部分を着色しています)

土器片の実測図(高知県立埋蔵文化財センター提供、文字とみられる部分を着色しています)

 若宮ノ東遺跡(南国市篠原)から出土した弥生時代後期末―古墳時代初め(2世紀後半~3世紀中ごろ)の土器片に刻まれた文字が、漢字2文字である可能性が高いことが22日までに、高知県立埋蔵文化財センターの調査報告で分かった。この時代に2文字の漢字が見つかるのは極めてまれ。古代文字研究の専門家が「1文字目が『何』、2文字目が『不』ではないか」と鑑定した。土器片はつぼの一部とされ、つぼ全体では「何不」の後に文字が続いていたとの見方があり、「何不」は国内最古級の文章の一部である可能性がある。

 土器片は、同センターが2018年度に行った発掘調査で、弥生時代後期末―古墳時代初めの竪穴建物跡から出土。19年度に整理作業の一環として土器片を洗浄したところ、文字のようなものが刻まれているのが見つかり、国立歴史民俗博物館の平川南・元館長(日本古代史)ら専門家に鑑定を依頼していた。

 文字は、つぼの首から肩辺りにかけての破片(縦7センチ、横10・8センチ)に、へらのような工具で斜めに縦書きで刻まれている。1文字目が崩した形の「何」(一部欠損)、2文字目が「不」とみられ、両方とも払いと止めを意識しているという。文字がはっきりとしており、土器を焼き上げる前の、表面がまだ軟らかいうちに記されたと考えられる。

 平川元館長は22年6月、同センターで土器片の実物を確認。その際、「何不」の意味に着目した。漢文では「なんぞ~ざる」などと読み、「どうして~しないのか」という反語文に用いられる。平川元館長は「『何不』だけでは意味が通じず、この後に何らかの文字が続いていたはず」とし、文章であった可能性を示唆。つぼ全体のサイズを推定したところ、「何不」2文字を含め、スペース的に最大で漢字7文字が刻まれた可能性があるという。

 同遺跡からは文字のようなものが刻まれている同時期の土器片がほかに4点出土している。このうち、漢字の可能性が高いと鑑定されたのは「屮」(草)とみられる1文字が刻まれた土器片(縦3・7センチ、横3・8センチ)。こちらはつぼが焼き上がった後に刻まれたとみられる。残る3点の土器片について専門家は、現段階で漢字の可能性があるとは言い切れないとして判断を保留している。(久保俊典)

【ズーム】若宮ノ東遺跡
 南国市篠原にある弥生時代から江戸時代にかけての複合遺跡。南国市役所の西方約600メートルに位置する。土地区画整理事業の工事に伴い、2017年度から22年度まで同市教育委員会が発掘調査。県立埋蔵文化財センターは16年度から、都市計画道路の建設に伴う発掘調査を続けている。弥生時代後期末から古墳時代初めの竪穴建物跡が数多く見つかり、大規模な集落があったとみられる。飛鳥時代の役所があった可能性を示す掘立柱建物跡や、奈良―平安時代の租税の穀物を保管した正倉跡が見つかっている。

高知のニュース 南国市 歴史

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月