2025.01.23 08:30
【全文公開】古代土器片に漢字2字か「何不」最古級文章の一部? 南国市で出土、高知県立埋文センター報告

「何不」の漢字2文字が刻まれたとみられる土器片(高知県立埋蔵文化財センター提供)

土器片の実測図(高知県立埋蔵文化財センター提供、文字とみられる部分を着色しています)
土器片は、同センターが2018年度に行った発掘調査で、弥生時代後期末―古墳時代初めの竪穴建物跡から出土。19年度に整理作業の一環として土器片を洗浄したところ、文字のようなものが刻まれているのが見つかり、国立歴史民俗博物館の平川南・元館長(日本古代史)ら専門家に鑑定を依頼していた。
文字は、つぼの首から肩辺りにかけての破片(縦7センチ、横10・8センチ)に、へらのような工具で斜めに縦書きで刻まれている。1文字目が崩した形の「何」(一部欠損)、2文字目が「不」とみられ、両方とも払いと止めを意識しているという。文字がはっきりとしており、土器を焼き上げる前の、表面がまだ軟らかいうちに記されたと考えられる。
平川元館長は22年6月、同センターで土器片の実物を確認。その際、「何不」の意味に着目した。漢文では「なんぞ~ざる」などと読み、「どうして~しないのか」という反語文に用いられる。平川元館長は「『何不』だけでは意味が通じず、この後に何らかの文字が続いていたはず」とし、文章であった可能性を示唆。つぼ全体のサイズを推定したところ、「何不」2文字を含め、スペース的に最大で漢字7文字が刻まれた可能性があるという。

【ズーム】若宮ノ東遺跡
南国市篠原にある弥生時代から江戸時代にかけての複合遺跡。南国市役所の西方約600メートルに位置する。土地区画整理事業の工事に伴い、2017年度から22年度まで同市教育委員会が発掘調査。県立埋蔵文化財センターは16年度から、都市計画道路の建設に伴う発掘調査を続けている。弥生時代後期末から古墳時代初めの竪穴建物跡が数多く見つかり、大規模な集落があったとみられる。飛鳥時代の役所があった可能性を示す掘立柱建物跡や、奈良―平安時代の租税の穀物を保管した正倉跡が見つかっている。



















