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2024.12.19 08:43

【全文公開】オジサンとミーコタン 師走の岸壁、愛の物語―魚信 はっぴぃ魚ッチ 松岡浩司

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圧力に負け、タチウオをお裾分け

圧力に負け、タチウオをお裾分け

 師走ですね。

 皆様も慌ただしくお過ごしのことでしょう。

 この時期、当店では久しぶりにお顔を拝見するお客様も多く見られます。

 「マスター、なかなかよう来んけど、いつも新聞のエッセーは見ゆうよ」

 そんなうれしいお声を頂きます。そして、「魚は釣れゆうがかえ?」。

 「…」

 確かに、私のエッセーは「釣れない釣り人のボヤキ」「敗者の記録」「失敗談」が圧倒的多数であります。

 苦し紛れに私は「では次回の紙面では、釣果報告します!」。

 あ~、言ってしまいました。二言を嫌う私は「アソコで奴を!」ということで、やって来たのは深夜の浦戸湾某所。ここは、明るい常夜灯が水面を照らし、ピシャピシャと獲物が音を立てます。

終業後、夜な夜な追いかけるアジ

終業後、夜な夜な追いかけるアジ

 音の主は、脂の乗ったアジです。車のリアゲートを開け、はやる気持ちを抑え、老眼と闘いながら仕掛けを準備していると、「ミャ~」。すぐそばで、猫が私を見上げています。

 「おっ、お前か!」

 そう、漁港や釣り人が多く集まる釣り場では、高確率で猫と遭遇します。

 そんな釣り場の猫は人懐っこく、愛想を振りまきながら釣り上げた魚をおねだりしてくるのです。

 中には不意に釣り上げた魚を猫に盗(と)られて「この野郎!」と声を上げる人もいるでしょうが、私は違います。

 私は愛情を込めて、釣り場猫たちを一様に「ミーコタン」と呼んでいます。(特に意味はナシ)

 「おや、このミーコタンはいつものミーコタンじゃないぞ!?」

 この新顔のミーコタン。なぜか私の背後にピタリと張り付き、動きません。

 「ミャ~ミャ~ミャ~」

 催促のように、鳴き続けます。

 「あ、圧がすごい…」

 強烈なプレッシャーであります。

 辛うじてアジと小ぶりのタチウオを釣りあげました。「アジはオジサン。君はタチウオね」

 さて翌日も同じポイントへ。「うわっ、ミーコタンが3匹に増えちゅう!」

 ミャ~ミャ~ミャ~と、もはや大合唱です。

 「ちょっ、待て待て。おチビさんから順番やき~」

 一体、何のために釣りをしているのでしょうか?と、思いつつも、笑みがこぼれっ放しの私でした。

 「また来るきね、ミーコタン達」

 来年も、釣りを介して幸せな1年になりますように。(BAR「深夜プラス1」店主=高知市帯屋町)



 高知市帯屋町のバー「深夜プラス1」のマスター、松岡浩司さんのエッセーから、魚信編集部がお気に入りの作品をチョイス。カウンター越しの釣り談義と、ちょっとマニアな釣行が交錯する「いい話」を、バーボン片手にお楽しみください。 

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