2026年 02月06日(金)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2024.11.29 05:00

【危険運転の処罰】国民が納得する法律に

SHARE

 繰り返される悪質運転を根絶する契機にしなければならない。
 悪質運転による事故に適用される自動車運転処罰法の危険運転致死傷罪の要件見直しを議論してきた法務省の有識者検討会が報告書をまとめた。高速度運転と飲酒運転の数値基準の設定を提言した。今後、法改正に向け、法制審議会(法相の諮問機関)で議論するという。
 現行法では、制限速度を大幅に超える猛スピードや飲酒による事故でも過失運転として扱われるケースがあり、遺族らは法改正を求めていた。法務省は多くの国民が納得する法律に改正する必要がある。
 危険運転致死傷罪は2001年に新設された。1999年に東名高速道路で高知県の飲酒運転のトラックが乗用車に追突し、女児2人が死亡した事故がきっかけだ。
 飲酒や高速度、赤信号無視などによる死傷事故のうち、悪質な運転を対象とし処罰する。法定刑の上限は懲役20年で、過失運転致死傷罪の懲役7年と比べて格段に重い。それだけに適用には慎重な姿勢が求められてきた。
 ただ、適用の可否を巡り混乱するケースが相次いでいる。
 大分地裁が昨日、時速約194キロで県道を走った車による死亡事故で危険運転致死罪の成立を認め、懲役8年の判決を言い渡した。検察側は当初、猛スピードでも直線道路では同罪は適用できないとして過失致死罪で被告を在宅起訴した。しかし、疑問を抱いた遺族から署名提出を受けた後、危険運転に訴因変更を請求し、認められた経緯がある。
 背景には適用要件が曖昧であることが指摘される。現行法は高速度の対象を「進行の制御が困難」、飲酒を「正常な運転が困難」とするなど具体的な数値を定めていない。そのため、捜査機関の判断次第で過失運転と扱われることがある。法務省によると、2022年に過失運転として扱ったのは28万件余りで、危険運転は約450件にとどまる。
 こうした実態を受け報告書は、車の速度や運転手の体内のアルコール濃度が一定の基準に達した場合に危険運転致死傷罪の適用対象とする考え方を示した。
 速度に関しては、具体的な数値は示さなかったが「最高速度の1・5倍や2倍」との案を例示した。飲酒についても、個人差や心身の状況にかかわらず、一律に「正常な運転が困難」といえる数値基準の設定を促した。
 客観的な基準が示されれば、捜査現場は判断がしやすくなるだろう。一方で基準を下回った悪質運転をどう扱うかという課題も指摘される。基準に達しない場合でもさまざまな要因が重なり、悪質運転となる場合も考えられる。数値だけでなく事例ごとに適切に判断することが求められる。
 むろん、悲惨な事故を防ぐには厳罰化だけではなく、交通安全教育の徹底も必要だ。悪質運転の危険性を繰り返し周知し、ドライバー一人一人の安全意識を高めたい。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月