2024.11.27 05:00
【政治資金】疑念持たれる余地なくせ

自民党の派閥裏金事件を受けた政治資金規正法の再改正に向けて、初の与野党協議が行われた。各党の主張が出そろう中、踏み込み度合いでは自民の甘さが浮かび上がった。世論が求めるのは、政治資金に関して疑念を抱かれる余地をなくす抜本改革だ。自民の姿勢が問われる。
6月に成立した改正政治資金規正法は、抜け穴や検討を先送りした項目が多く、不十分な内容だった。衆院選で敗れた石破茂首相が「政治改革に率先して取り組む」とした中でまとまった自民案は、党から幹部に渡る使途公開不要な政策活動費の廃止や、監査機能を強化する第三者機関の設置を柱とした。
政活費廃止は衆院選前は明言しておらず、ようやく腰を上げた格好になる。ただ、6月の規正法改正時は温存にこだわり、9月の自民総裁選になると一部候補が廃止を訴えるという首をかしげる対応をたどった。結局、実態や必要性は分からないままだ。説明が求められる。
また、外交や企業の営業秘密に配慮し、使途非公表の支出も残すとした。もしそうするのなら恣意(しい)的な運用を防ぐ対策が不可欠で、第三者機関の在り方にも直結する。
最大の焦点は、企業・団体献金の扱いになる。立憲民主党や日本維新の会、共産党などは禁止を掲げるが、自民は容認する方針を示す。
企業・団体献金は、1990年代の政治改革で税金が原資の政党交付金が導入されたのを機に、5年後に見直すとされた。理由は、不正の温床になったり、政策がゆがめられたりする恐れがあるからにほかならず、そのリスクは今も残る。
しかし、見直しは棚上げされたままで、実質的な企業・団体献金ともされる政治資金パーティーも含めて、政党交付金と「二重取り」との批判が続いている。
自民は「企業の政治活動の自由」を掲げ、「民主主義のコストを誰が負担するのが正しいのかということに帰着する」とするが、必要性を訴えるのなら、野党や国民が納得できる具体的な使途や透明性を高める方策を示さねばならない。それができないのなら禁止するべきだ。
自公の少数与党状態で政治改革議論を仕切り直す形になった今回は、合意形成過程も焦点になる。
「公開・熟議」を求める立憲民主などに対し、与党は今回、公開での協議の場を設けた。臨時国会では政治改革特別委員会の場で、年内決着を目指して議論を積み上げる。透明性が確保された点は評価できる。政治改革は全政党に関わるテーマだけに、幅広い合意が望ましい。
国会議員に月額100万円支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開なども長く放置されてきた課題だ。速やかに対応しなければならない。



















